息を合わせて綱を引っ張る住民や観光客=新温泉町湯
息を合わせて綱を引っ張る住民や観光客=新温泉町湯

 兵庫県新温泉町湯の湯村温泉街で4日、700年以上続くとされる「湯村温泉祭り」があった。温泉街を流れる春来川を境に、住民が上組と下組に分かれて勝負する「湯村の菖蒲綱引き」は4年ぶりに観光客も参加。約500人が「ヨーイショ、ヨーイショ」のかけ声で長さ80メートル、重さ3トンの大綱を力いっぱい引き合った。

 湯村温泉の開祖・慈覚大師に感謝し、子どもたちの健やかな成長を祈る祭り。名物の菖蒲綱引きは戦後にいったん途絶え、1979(昭和54)年、22年ぶりに復活して続けてきたが、コロナ禍で2020年、21年は中止し、昨年は住民だけが参加した。

 3日には、湯区の住民約170人が温泉小学校グラウンドに集合。長さ40メートルのわら縄を計450本束ねて2本を作り、つなげて邪気を払うとされる菖蒲を差し込んで大綱を作った。

 本番は5分間の一本勝負。上組が勝つと五穀豊穣、下組が勝つと商売繁盛に1年間恵まれるとされ、助っ人の観光客も続々と参加。双方の力が拮抗する大接戦となったが、最後は30センチ差で上組が勝利した。新温泉町歌長の会社役員の男性(47)は「腕がパンパンで、明日は筋肉痛です」と汗をぬぐった。

 湯区の角田和寿区長(61)は「コロナ禍を経験し、日常の生活や行事が大事か分かった。明日からみんな、笑顔で生活できる」と話した。(長谷部崇)