兵庫県豊岡市出石町福住のホテル「ウインブルドン」に、犬と泊まれる客室が登場した。代表の村尾成介さん(46)が、愛犬とともに但馬地域を満喫してもらおうと一念発起。3棟のうち1棟を専用宿にし、裏庭には手作りのドッグランを整備した。(丸山桃奈)
村尾さんの両親が1988年にホテルを開業し、観光客や商用客などが利用している。敷地に飲食店「そば処(どころ)宿坊」と温浴施設「湯元館」を構え、家族で経営している。
新しい客室を開設したのは、愛犬とともに埼玉から車で豊岡を経由し、湯元館に立ち寄った夫婦との出会いがきっかけだった。犬の面倒を見るために交代で入浴していたため、男性に宿泊先を訪ねると、布団を敷いた車の中を写真で見せてくれた。男性は「兵庫県はワンちゃんを泊めてくれるところがすごく少ない。車中泊しかない」と現状を訴えた。
村尾さんは家族の反対を押し切って「犬と気軽に泊まれるようにしよう」と改修を決断。うち1棟を愛犬と泊まれる仕様にした。愛犬家の助言をもとに、鳴き声の騒音リスクを少しでも軽減しようと、当面は犬同伴の専用客室を1、2階の角部屋(計4室)に限定。今後、需要に応じて10室を上限に増やすという。
玄関に足洗い場を設け、室内にケージを、脱衣所には犬用にドライヤーなどを備える。但馬地域では、飼い主も休めて、目の届く範囲で犬が走り回れる場所がないという。荒れ地だった裏庭に半年かけてドッグランを手作業で整備。約90平方メートルの芝生を敷き、リードフックや一部には屋根も設けた。
改修に伴い、一般客が利用できる部屋を減らし、愛犬とともに旅行がしたい顧客のニーズを優先した。
5月3日にいずれもオープン。犬は不得手という村尾さんは「かまれそうで怖いが、愛犬と気軽に泊まって一緒に但馬を楽しんでほしい」と話している。
1泊1万2100円~(夕・朝食付き)。7月まで犬代は無料。一般開放(500円)の準備も進める。ウインブルドンTEL0796・52・2871