兵庫県新温泉町の山あいにある民宿「宮の下荘」が、新たな昼食プラン「ひる旅」を始めた。地元食材の但馬牛や自家製コシヒカリなどをふんだんに使ったメニュー3種類を、3千~4千円台で提供する。民宿の創業50年を記念した取り組みで、宿を切り盛りする杉岡詳二さん(57)は「確かな食材の魅力を伝え、近隣市町から気軽に足を運んでもらえれば」と話している。(末吉佳希)
「本場の但馬ビーフをちょっとぜいたくに。和の個室でゆったり」。こんなコンセプトで今年の夏に始めたプランは、冬場のカニシーズンまでの閑散期を埋める試みで、詳二さんと妻の和代さん(52)が企画した。
目玉はいずれも但馬牛のサーロインステーキ(4800円)や肩ロース焼肉(3800円)、モモ焼肉(同)。1人用の鉄板で焼き加減を自由に変えられ、たれやニンニクチップス、ワサビなどによる「味変」もバリエーション豊富だ。
また、山あいの棚田で丹精したコシヒカリは、粘土質の土壌や昼夜の寒暖差で甘みやうま味が強く、自ら精米しておにぎりで供する。季節の野菜を盛った副菜も並ぶ。
プラン開発のもう一つの背景には、奈良県のイタリア料理店で経験を積んだ長男の龍太郎さん(25)が、数年前に帰郷したことがある。将来的に店を引き継ぐことを視野に、龍太郎さんの経験を生かしたイタリアンのメニュー開発などにも意欲的だ。
杉岡さん夫婦は「『ひる旅』をひな型に、さまざまなジャンルの料理を楽しんでほしい。常連さんも大切だが、若者世代に響かせる努力も必要」と力を込める。
午前11時~午後2時。TEL0796・92・0389