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「迷ったら警察へ通報を」コンビニ店員と農協職員、特殊詐欺被害防ぐ 声かけ、会話に違和感…訓練生きる

2022/10/01 05:30

 兵庫県警美方署と豊岡署は、特殊詐欺の被害を未然に防いだとして、それぞれコンビニの店員と農協職員に感謝状を贈った。高額の電子マネーを購入しようとする来店者や、通話料の支払いを顧客に求める相手の指示に違和感を抱き、各署への通報を通して送金を阻止した。(長谷部崇、丸山桃奈)

 美方署は、高額の電子マネーを買おうとした女性に購入理由を尋ね、詐欺被害を防いだとして、ローソン香美町和田店(香美町村岡区和田)の店員西村美紀さん(54)に署長感謝状を贈った。

 7月10日夕、来店した50代女性が電子マネーを購入しようと、店頭で販売する2万円分のカードをレジに持参。西村さんがレジを打ちかけると、女性はさらに5万円分のカードを持ってきて、計7万円分の決済を求めた。

 女性の挙動に違和感を覚えた西村さんは「これ、危なくないですか」「何に使うんですか」と尋ねたが、女性は「大丈夫です」「何で売ってくれないの」と詳しい経緯を明かさず、押し問答が続いた。ちょうど出勤してきたオーナーの中田幸一さん(47)も詐欺の可能性が高いと判断。決済を断った。

 女性の退店後、中田さんが署に通報。署員が女性宅を訪ねて事情を聴いたところ、女性の携帯に「融資します」というショートメールが届き、「ただし保証金が必要で、電子マネーで7万円送って」と求められたことを明かした。

 同署の石井克央署長は6月、特殊詐欺の注意喚起で、同店も含む管内のコンビニ各店を訪れたといい、「署長の訪問があったばかりで、通報しなければと思った」と中田さん。西村さんは「大金が無駄にならなくてよかった。今後も積極的に声かけしていきたい」と話した。

 同署によると、1~7月の県内の特殊詐欺の認知件数は460件で、被害金額は7億1881万8千円。同署管内では昨年から被害はないが、今年は7月までに10件(前年同期比7件増)の相談が寄せられている。

 一方、豊岡署は、JAたじま日高総合支店職員の八木梨恵子さん(37)に署長感謝状を贈った。

 5月20日午後3時ごろ、豊岡市内の男性(79)が同店のATMを利用しようと来店。数年間未使用のキャッシュカードでATMが作動せず、「振り込みたいのにカードが使えない」と、窓口の八木さんに訴えた。

 八木さんが事情を聴くと、携帯電話関連の未払い金約30万円の納付を促すショートメッセージが届き、記載の番号に電話をかけると、NTTの職員を名乗る男から「きょう中に振り込みを」「車の中で電話をかけて」などと指示があったという。八木さんは男性の話と文面を見て、詐欺と確信した。

 同署による特殊詐欺などの防犯訓練で「詐欺かどうか迷ったら、間違ってもいいので連絡してください」との署員の助言が強く残っており、送金を思いとどまらせて上司に通報を依頼した。八木さんは「署員の言葉があったから、迷うことなく判断できた」といい、「話しやすく相談しやすい雰囲気が大事」と話した。

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