兵庫県養父市は、市内の新型コロナウイルス感染状況が「警戒期にあたる」として、信号機の色で示す独自指標の「黄色」を発令した。市内の下水に含まれるウイルス量に基づいて判断し、２５日朝に発令した。同市は現在、下水中のウイルスを監視する下水疫学調査の実証事業を行っており、今後は、おおむね１週間程度で更新していく予定だ。（桑名良典）

　市防災安全課は「ウイルス濃度は上昇しており、警戒が必要な段階。感染対策の徹底を」と呼びかけている。

　調査は、下水中のウイルスを検査することで、無症状感染者を含めた新型コロナ感染症のまん延状況を把握する国の実証事業の一環。市は、塩野義製薬（大阪市）が出資する下水疫学調査会社のアドバンセンチネル（同）などと協力。市内５カ所の浄化センターで、下水を定期的に検査し、新型コロナウイルスの濃度を調べている。

　警戒情報は、市のホームページ上で公表する。内容は「青（収束期）」「黄（警戒期）」「赤（拡大期）」の３色で表現する。上昇局面か下降傾向なのかを示すコメントも添えて、注意を喚起する。

　養父市では、今年７月からデータ収集を始め、新型コロナのウイルス量と新規陽性者数の整合性などを見守ってきた。８月に新規陽性者数が１日で５０人を上回っていたころは、「赤」の拡大期を示すウイルス量が検出された。９月中旬ごろに陽性者数が減少すると「黄」の警戒期を経て、１０月下旬には「青」の収束期となっていた。

　しかし、今月上旬に再び警戒期に入り、中旬以降に急拡大している。同課は「９月下旬以降、市町別の陽性者数のデータが入手できなくなった。下水中のウイルス量は感染状況を把握する一つの指標として有用。（養父市の合併前の）旧町ごとに、学校や高齢者施設などでの感染症対策に生かしていきたい」としている。