石川県の被災地にシェルを無償提供した金川将裕さん(左)と製作に携わった大西洋さん=加古川市東神吉町天下原
石川県の被災地にシェルを無償提供した金川将裕さん(左)と製作に携わった大西洋さん=加古川市東神吉町天下原

 軽トラック向けのキャンピングカーやキッチンカー設備を製作・販売する加古川市東神吉町天下原の「SECRET BASE(シークレットベース)58」が、石川県の能登半島地震の被災地で活動するボランティア団体に、物資搬送などに使え、荷台に載せる「シェル」を寄付した。「さまざまな用途に対応できる」と同社の金川将裕さん(49)。「被災地の『こんなのあれば便利』に応えた」と話す。(宮崎真彦)

 同社は、軽トラックの荷台に脱着可能なシェルを、オーダーメードで製作・販売している。荷台を有効活用でき、アウトドアやキッチンカーとして使われるほか、最近では災害に備え購入する人も多いという。

 金川さんが5月末、被災地で3日間のボランティア活動した経験が寄付のきっかけになったという。軽トラックでは、雨が降れば荷台が水浸しになる。炊き出し作業に従事した際「しっかりと屋根があり、多くの物を一気に運搬できるものがあったらいいのに」と強く思った。

 キッチンカーやキャンピングカーを製作する鍛治屋(加西市鶉野町)の大西洋さん(47)にも協力を打診。大西さんは「お互いにとってウィンウィンの取り組みと思えた。自分が役に立てるのなら」と金川さんの取り組みに賛同。被災地向けのシェルの扉部分の製作を担当した。

 完成したシェルは高さ145センチ、幅140センチ、長さ190センチの大きさ。外側にアルミ板を張り、中は木の板で組み立てた。上に開く扉が屋根になるなど、雨が多いという現地の要望に応える仕様にした。

 8月に現地のボランティア団体の職員がシークレットベース社を訪れて、特注で製作したシェルを譲り受けた。金川さんは「こうした取り組みがこれから増えていけばいい。役立つものをどんどん作っていきたい」と力を込めた。