【ウィーン共同】国際原子力機関(IAEA)の定例理事会が8日、ウィーンで始まった。グロッシ事務局長は冒頭演説で、6月にイスラエルと米国による攻撃を受けたイラン核施設への査察再開に向けたイランとの協議が進展しているとして、「数日以内に結論に至り、(査察が)全面再開できると期待している」と述べた。
今月のIAEA報告書によると、イランはイスラエルによる攻撃が始まった6月13日時点で、濃縮度60%の六フッ化ウランを推定440・9キロ貯蔵。この量はさらに濃縮を高めれば核爆弾10個分に相当するとされる。
攻撃後、イランはIAEAへの協力を一時停止する法律を施行したため、ウランの貯蔵量を把握できていない。グロッシ氏は、イラン側に査察再開への早期合意を促した。
イランに対し、核合意の当事国、英仏独は8月下旬、国連制裁を復活させる手続きを始めた。グロッシ氏は記者会見で、査察を再開できれば外交交渉に「確実に好影響をもたらす」との認識を示した。
また、北朝鮮が北西部の寧辺に、首都平壌近郊カンソンにあるウラン濃縮施設と特徴が似た新施設を建設中で、状況を「注視している」とした。