人のiPS細胞から下顎の骨を立体的に再現したミニ臓器「オルガノイド」を作製することに成功したと、京都大iPS細胞研究所の本池総太特命助教らのチームが24日までに英科学誌に発表した。チームによるとiPS細胞から立体的な下顎の骨を作製したのは初で、骨の病気の解明や治療法開発が期待される。
顎の骨は形成過程が他の骨と異なり特殊で、iPS細胞からの作製法が確立されていなかった。
チームはiPS細胞由来の細胞を立体的に集め、骨ができる過程を人工的に再現することを試みた。まず顎の骨のもととなる細胞の作製に成功。加えるタンパク質の組み合わせや濃度を工夫して培養した。38日目には直径約1~1・5ミリの白色の固い塊が形成。石灰化など骨の構造が再現され、オルガノイドをつくることができた。
作製したオルガノイドは顎の骨では豊富にある血管がなかった。血管が多くあるマウスの腎臓に移植したところ、血管が作られ、成熟した骨ができることを確認。実際にマウスの下顎の欠けた部分にオルガノイドを移植すると、4週間後には骨が作られた。