壁画の完成披露式に出席した作者のアドリー・デルロシオさん(左から3人目)とカルロス・アルベルトさん(同5人目)ら=15日午前、広島空港
 壁画の完成披露式に出席した作者のアドリー・デルロシオさん(左から3人目)とカルロス・アルベルトさん(同5人目)ら=15日午前、広島空港

 広島空港ターミナルビルの外壁に、被爆者の意志を継ぎ、核なき世界を願う巨大壁画が完成し、15日、披露式が開かれた。作者はメキシコの壁画家で、同国との友好も象徴。鮮やかなオレンジの夕日と青空の下、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の中心人物や折り鶴が、立体感ある筆致で描かれた。

 アドリー・デルロシオさんとカルロス・アルベルトさんの姉弟が被爆証言を聴いて構想を練り、ビルの北面と東面計200平方メートルに描いた。アドリーさんは式典で「多くの人々の平和を願う力によって完成した」と涙ながらに喜んだ。

 絵には被団協代表委員として反核運動を率いた故森滝市郎さんと故山口仙二さんのほか、中南米の非核化に尽力しノーベル平和賞を受けたメキシコの外交官故アルフォンソ・ガルシア・ロブレスさんや、「原爆の子の像」のモデル故佐々木禎子さんも描かれた。

 式には駐日メキシコ大使らが参加し、被団協の箕牧智之代表委員(83)は「先人たちが描かれ、特別な思いだ。被爆者がいなくなってもこの絵は残り続ける」と語った。