日本新聞協会主催の第78回新聞大会が15日、東京都内のホテルで開かれた。2025年度の新聞協会賞の授賞式があり、神戸新聞社の「阪神・淡路大震災30年報道」(震災30年取材班、代表=阪神総局デスク兼編集局編集委員・中島摩子)など7件が表彰された。
「30年報道」は、6434人が亡くなった阪神・淡路大震災の発生から今年1月17日で30年となるのに合わせ、昨年1月にスタート。災害の記憶は発生30年を境に継承が難しくなるとする「30年限界説」を乗り越え、震災の教訓を後世に伝えるためのキャンペーン報道を行った。
貧困や孤立、過疎、高齢化、性差、トラウマ(心的外傷)など、現代社会の課題を通して新たな災害リスクを問う連載などを展開。同協会は「震災で女性死者が多かった原因に迫る連載では、社会的弱者がしわ寄せを受ける構造を明らかにした」などと評価し、授賞理由を「被災地の地元紙として新たな『継承の力』を示した」と説明した。
授賞式で、中島デスクは「地元紙を信じ、つらい経験や胸の内を語ってくださった人たちがいたからこその賞」とし「命を守るために引き続き限界説に挑み、被災地の内側から発信し続けたい」と語った。
神戸新聞社の受賞は23年度の「神戸連続児童殺傷事件の全記録廃棄スクープと一連の報道」、24年度の連載企画「里へ 人と自然のものがたり」に続き3年連続7度目となる。(名倉あかり)
他の受賞は次の通り。
【新聞協会賞】日本郵便による不当に高額な違約金や不適切点呼をめぐる一連の特報(朝日新聞社)▽長野県石油商業組合「ガソリン価格カルテル疑惑」を巡る一連のスクープ(信濃毎日新聞社)▽「JR貨物脱線事故 破断した腐食レール」のスクープ写真(北海道新聞社)▽写真連載「里海の今」(中国新聞社)▽被爆80年企画「ヒロシマ ドキュメント」(中国新聞社)▽NHKスペシャル「オンラインカジノ “人間操作”の正体」(日本放送協会)
【新聞技術賞】Ask!NIKKEI「広く、深く、早く知る。」ニュースに新たな価値を(日本経済新聞社)