精神科医で劇作家の胡桃沢伸さん(59)が脚本と演出を務める一人芝居「鴨居に朝を刻む」が15日、初めて長野県阿智村の満蒙開拓平和記念館で上演された。戦時中、同県河野村(現豊丘村)の村長として、国策の「満蒙開拓団」を送り出した祖父盛さんの日記をひもとき題材とした。

 盛さんは35歳の若さで村長になった。1943年10月、分村移民の送り出しを決めた。当時の日記には「安意のみを願っていては今の時局を乗りきれない」とあった。

 開拓団は敗戦後、現地の人に襲撃され、73人が「集団自決」(集団死)に追い込まれた。分村移民の身を案じていた祖父は、46年4月に村長を辞職し、3カ月後に自ら命を絶った-。