兵庫県知事選の第一声で街頭に立つ立花孝志容疑者=2024年10月31日、神戸市中央区
兵庫県知事選の第一声で街頭に立つ立花孝志容疑者=2024年10月31日、神戸市中央区

 1月に亡くなった元兵庫県議の竹内英明氏に関する虚偽の情報を広げたとして、名誉毀損の疑いで逮捕された政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)。交流サイト(SNS)のX(旧ツイッター)で、竹内氏に言及する投稿数の推移を調べると、急増のピークは6回あり、その多くに立花容疑者の発信が関係しているとみられることが分かった。

 分析ツール「ソーシャルインサイト」で、「兵庫」「竹内」を含む投稿数の推移や拡散された投稿の内容を調べた。

 竹内氏に関する投稿が最初に増えたのは県知事選告示後の昨年11月2日だ。

 その前日の1日、知事選に立候補していた立花容疑者は岸口実県議らとホテルで面会。竹内氏ら3人の県議会調査特別委員会(百条委)委員の実名を挙げ「黒幕」と批判する文書を受け取ると、その日夕方、三宮での街頭演説で語り始めた。

 「作り話が噂話になって、噂話を集めたら嘘話になったという話なんです。意図的に作り出しよったんです。これ、竹内県議、聞いてますか? あんた、えらいことしてまんな」

 同日夜にはインターネットの討論番組に出演。「竹内さんという」と名前を出した後に言い直し「ある県議が作って転覆をさせるようにしたわけで、これをやったことが全然犯罪行為なんですよ」と語った。

 こうした発信の影響か、Xでは1日夜から竹内氏に関する投稿が増え、2日には3600件以上に。最も多く拡散されたのは立花氏以外の投稿で、「兵庫県政混乱を作り出した男」として竹内氏らを挙げ「資料作ってくれた人ありがとう」とする内容だった。

 立花容疑者はその後、「片山(安孝)元副知事の代理人からもらった」として「黒幕」と書かれた文書の動画を投稿し、これも拡散された。

     ◆

 県知事選で斎藤元彦氏が再選し、竹内氏が県議を辞任した11月18日、投稿は2万4千件を超えた。最も拡散したのは、第三者による「斎藤知事が再選した直後になぜ逃げる? 竹内英明、黒幕だったのか?」との投稿。立花容疑者は「竹内議員、潔いです!お疲れ様でした」などと投稿した。

 12月1日には立花容疑者が「竹内が県議会議員を辞めた理由! 現在竹内は警察からいろいろ聞かれている模様!」と投稿。その後、第三者が「兵庫県、黒幕の1人と噂されている、竹内英明 元議員 警察の取り調べを受けている模様 なぜいきなり辞職したのかな? 警察にも怪しまれとるやんけ」と投稿し、その日最も拡散された。

 5回目のピークの同月25日は、百条委の尋問で片山元副知事が竹内氏に言及した日。X上では立花容疑者とは別のインフルエンサーの投稿が最も拡散された。「兵庫県、百条委員会で片山副知事が激オコwww」とし、竹内氏と複数の議員名を挙げて「責任取ろうな」とする内容だった。

     ◆

 年が開け、阪神・淡路大震災30年の1月17日には匿名のこんな内容があった。

 「竹内英明元兵庫県議員さーん! 何処に雲隠れしてるの? Xで目撃情報募集したくなっちゃうじゃん」「情報社会の現代、逃げ続けられるのかな?俺ですら見かけたら声掛けるよ」

 翌18日、竹内氏は亡くなった。19日に報道されると投稿は11万件を超えた。最も拡散されたのは竹内氏を悼む言葉だった。

 一方、立花容疑者は「竹内元県議は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました。こんな事なら、逮捕してあげた方が良かったのに」と投稿。削除されるまでに2639回リポスト(引用投稿)され、容疑事実の一つとなった。

     ◆

 立花容疑者が逮捕された今月9日、「兵庫」「竹内」のキーワードで投稿されたのは4万5千件超。

 竹内氏に対する真偽不明の内容の投稿は、いまだにある。(「民意×熱狂」取材班)