ヒアリの死骸の入った試験管の前で、「お座り」の姿勢で知らせる台湾の探知犬。茨城県つくば市の国立環境研究所で実証試験を行った=2023年10月
 ヒアリの死骸の入った試験管の前で、「お座り」の姿勢で知らせる台湾の探知犬。茨城県つくば市の国立環境研究所で実証試験を行った=2023年10月

 南米原産で強い毒を持つヒアリの国内への侵入確認事例が過去最多となる中、環境省がヒアリをにおいで発見する「探知犬」の試験育成に乗り出す。地中にいて目視できないヒアリに有効で、防除効率が高まると期待されている。2025年度中に「育成マニュアル」の作成を始める。

 ヒアリは毒針で刺されると腫れや激痛が生じ、強いアレルギー反応で命の危険を伴うことがある。海外からの輸入コンテナなどに紛れるケースが多いとされ、国内では2017年に神戸港に到着し、陸揚げされたコンテナ内で初確認した。

 25年度の国内侵入確認事例は11月末時点で9都府県36件となり、過去最多だった17年度の26件を上回る。スナック菓子に群がるアリにヒアリが含まれないか目視で確認、駆除するが、環境省の担当者は「万が一、国内に定着したら目視調査が追い付かない」と危機感を募らせる。地中のヒアリは物理的に発見できないという課題もある。

 そこで期待されるのが探知犬だ。ヒアリ特有のにおいを感知し、地中のヒアリを見つけて、「お座り」の姿勢で知らせる。主にビーグルが活用される。