中原中也
 中原中也

 詩人・中原中也(1907~37年)の初期の2作「月」「黄昏」を書き写した自筆の原稿が見つかったと、県立神奈川近代文学館(横浜市)が29日発表した。雑誌から寄稿の依頼を受け、刊行される詩集の宣伝のために収録作を書いたとみられる。同館の担当者は「中也は早世したため、自筆の原稿は珍しく、貴重な発見だ」としている。

 同館によると、見つかったのは、34年と35年に短歌雑誌「日本歌人」に掲載された際の原稿とみられる。1作ずつ原稿用紙1枚に書き写されており、「黄昏」の末尾には「近刊『山羊の歌』より」と書き添えられていた。

 「月」と「黄昏」は29年に雑誌「生活者」に発表した後、34年に刊行された生前唯一の詩集「山羊の歌」に収録。中也は32年に同詩集を編集したが、予約は10人程度にとどまり、資金不足で刊行が遅れていた。

 原稿は「日本歌人」を主宰した歌人の前川佐美雄(03~90年)の遺族が2023年に寄贈した資料の中にあった。同館で31日から公開する。