中東情勢の悪化に伴い航空各社が国際線に課す燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)を引き上げ、旅費が高くなりインバウンド(訪日客)数が減少するとの懸念が旅行業界で強まっている。エコノミストからは、約9兆5千億円に上る訪日消費に下押し圧力がかかるとの声が上がる。政府が目指す2030年に6千万人の受け入れ計画にも水を差しかねない。

 航空燃料の高騰を受け、全日本空輸と日本航空の7、8月発券分のサーチャージは過去最高を更新。中東情勢がやや緩和し9、10月分は下がる見通しだが、先行きは依然、不透明だ。引き上げはデルタ航空やトルコ航空など世界的に広がる。

 政府観光局によると、26年上半期(1~6月)の訪日客数は過去最多だった前年同期に比べ2・0%減の推計2108万4800人となった。日中関係悪化で中国が56・4%減となったことが主な要因だが、これまで2桁増だった米国や欧州各国、オーストラリアが1桁に鈍化した。

 旅行大手の首脳は「今は円安が訪日客にとってメリットだが、サーチャージの影響は大きい」と危惧する。