写真・映像作品は、多様なテーマと手法で社会や自然の実相に迫った3件が選ばれた。共同通信社の「終わらぬ悲しみの連鎖」は、イスラエル、パレスチナ双方の市民の表情を写真と映像で捉え、ガザ戦闘の現実を伝えた。山陽新聞社の「島を渡る」は、約2年かけてシーカヤックで瀬戸内海の121島を巡り、島の歴史や風景、社会問題を描いた。NHKの「ヒグマ 異変の海に生きる」は、高精細カメラやドローン、水中撮影などを駆使して知床のヒグマを長期間追い、気候変動による生態系の変化を映し出した。
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3作品にはじっくりと考えさせられる深さがある。共同通信社の「悲しみの連鎖」では、被写体の指さす先を想像し、この服装はどの宗派かと思いを巡らせた。山陽新聞社の「島を渡る」の美しい景色からは、地域に根差した「ザ・ライフ」が伝わってきた。NHKの「ヒグマ 異変の海に生きる」を見て、以前知床でヒグマに遭遇した際に聞いた「自然が豊かだから人を襲わない」というガイドの言葉を思い出し、自然の循環が壊れれば人を襲うかもしれないと感じた。
従来の報道写真は現場に居合わせたことに価値があることも多かったが、今は当事者が自らスマホで撮影し「ゼロ次情報」として発信できる。ただ、自分も写真を撮るので分かるが、プロが考えて撮影しキュレーション(整理・構成)したものはクオリティーが全く違う。そこにこだわるのが芸術や文化だ。バズることが目的化し情報がますますファストになる中で、ジャーナリズムの意味は時間をかけて文化を温めていくスローさにこそあるのではないか。
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おちあい・よういち 1987年生まれ。東京都出身。筑波大学教授、東京大学准教授。2010年ごろより作家活動を始める。境界領域における物化や変換、質量への憧憬(しょうけい)をモチーフに作品を展開している。25年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーを務めた。























