帝国ホテルの人気の定番「クリスマスショートケーキ」。135周年のロゴプレートをトッピングした(提供写真)
 帝国ホテルの人気の定番「クリスマスショートケーキ」。135周年のロゴプレートをトッピングした(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【6日(土)】

 ▽「小林圭シェフのスピリット感じるクリスマス特別コース」(ディナーは20~25日、ランチは21日、港区、予約制)

 虎ノ門ヒルズ49階に2024年春オープンしたレストラン「KEI Collection PARIS」で、25年のクリスマスディナーの予約が始まっている。

 アジア出身者で初のフランス版ミシュラン三つ星を獲得した小林圭シェフが、日仏で展開する店舗の一つ。同店最大の特徴は「劇場性」だ。カウンター席では、厨房の料理人たちの流れるような手仕事やかけ声、火入れの音がじかに伝わり、ライブ感あふれるパフォーマンスを目の前で楽しめる。

 同店シェフの久保雅嗣さんは「料理ができるまでのプロセスにお客さんも参加してほしいとの思いを、オープン前からパリにいる小林シェフと何度も話した。料理人たちの動きをカウンター越しに見ながら、五感を使って豊かに味わってほしい」と話す。

 “日本各地の良質な食材を提供する”との小林さんの哲学を表現した豊富なアラカルトメニューから選べるのが同店の特色。通常は手頃な価格でも楽しめるが、クリスマス期間は本格的なコース料理を提供する。熊本県産延寿牛や、もなかと兵庫県産香住蟹を使った同店の代表的メニューなど普段の品目も取り入れつつ、特別に考案した。「年に一度のクリスマスディナーに訪れる人たちに、アラカルトのおいしさを知ってもらう“きっかけ”にもしたい」と久保さん。

 日本料理やイタリアンの経験も長い久保さんは、フランス料理の伝統に日本の旬の食材を融合させる小林さんの食文化を継承し、日々改革を進める。「店の舞台となる厨房でチームが一体となって一皿に込めた“物語”を感じてほしい」。年末年始(26~31日、1月3~5日)も特別コースメニューを提供。

 ○そのほかのお薦めイベント

 【6日(土)】

 ▽「清川泰次 デザインの仕事-生活に息づく美」(~26年3月15日、世田谷区)

 抽象表現を追求し続けた画家・清川泰次さん(1919~2000年)の“デザインの仕事”に光を当てる展覧会が、成城で開催されている。

 画業の傍ら、生活用品のデザインを数多く手がけた清川さんの“暮らしに根ざした美意識”を紹介。自宅兼アトリエを改装した清川泰次記念ギャラリー(世田谷美術館分館)で、画家のライフスタイルも感じながら鑑賞を楽しめる。

 70年代後半に住宅メーカーのミサワホームによる企画住宅のカーテンをデザインした清川さん。80年代には、西武百貨店から販売された食器やネクタイなどのデザインも手がけるようになり、生活分野全般へ活動の幅を広げた。

 見どころは吹き抜けのアトリエ。企画住宅用のカーテンの試作品を壁に飾り、ハンカチ、スリッパからバッグや傘まで、暮らしに密着したプロダクトを床や棚に並べた。同じ時期に描いた絵画作品も展示し、純粋なアートと商業用作品が融合する空間を演出。

 学芸員の伊藤まりんさんは「線や色、形による普遍的な清川美術の表現が、洗練された爽やかなスタイルで食器やカーテンといった日用品にも息づいている様子が感じられる」と話す。

 庭に面した子ども部屋だった場所には、モダンなデザインのガラスのコップ、線で構成したデザインによる「線のシリーズ」のカップ&ソーサーやランチョンマットなどテーブルウエアを展示した。「暮らしに“楽しみながら”芸術を取り入れる精神に触れ、日常の中の美しさを見つめ直す機会にしてほしい」

 ▽「内田繁×ボジェック・シーペック展」(~27日、中央区・厨子屋銀座本店B1ギャラリー、入場無料)

 インテリアデザイナーの内田繁さんと、チェコの建築家・デザイナーのボジェック・シーペックさんとの長年にわたる親交と協働の軌跡を振り返る展覧会が、銀座で行われている。

 ファッションデザイナー山本耀司さんのブティックや茶室「受庵・想庵・行庵」を手がけ、国際的評価を高めた内田さんの没後9年を記念した企画。シーペックさんはプラハ城の改装の際に責任デザイナーを務め、チェコの伝統的なガラス工芸に革新をもたらした。

 内田さんが2006年、シーペックさんの工房を訪れた際にデザインしたユニークなガラスの茶道具「破袋(やぶれぶくろ)」や、シーペックさんの洗練されたクリスタルグラス作品「Convoy Big」などを展示。ガラスを通じた2人の対話が伝わる。

 かつて内田さんが空間をデザインした「オリエンタルホテル広島」のイタリアンレストランのために、シーペックさんが創作したユーモラスな天井装飾のうち「彼女は化粧室へ」など2点も紹介している。

 内田デザイン研究所の佐賀麗菜さんは「国境と分野を超え共鳴したデザイナーたちの好奇心と、“美の創造”を堪能してほしい」と話した。

 ▽「インペリアルクリスマス2025」(受取期間は19~25日、5日前の18時までに予約が必要)

 開業135周年を迎えた帝国ホテル東京(千代田区内幸町)で、新作から定番まで多彩なクリスマスケーキの予約が始まっている。

 限定販売の「ル リアン」は、フランス語で「つながり」「絆」を意味する新作ケーキ。かわいらしい外観が目を引く。バニラムースの中に、イチゴやマンゴー、ピスタチオなどの球体状ムースをちりばめ、カットする場所で異なるフレーバーと食感が味わえる。

 トナカイの顔を模した1人用サイズのチョコレートムースケーキ「赤鼻のトナカイ」も登場。一つ一つの表情が少しずつ違う、遊び心にあふれた一品だ。

 人気の定番「クリスマスショートケーキ」は、イチゴとスポンジ生地のおいしさを上品な甘さの生クリームが引き立てる。アルコールを使用せず、子どもからお年寄りまで楽しめるように工夫した。

 ペストリーシェフの秋城俊徳さんは「シェフ一同で思いを込めて創作した。家族や親しい人たちの心を結び、誰もが笑顔になってほしいとの気持ちを届けたい」と話した。