明石のタイをさばくキャスパー・エリック・ソレンセンさん=神戸市中央区生田町2、祇是
明石のタイをさばくキャスパー・エリック・ソレンセンさん=神戸市中央区生田町2、祇是

 2024年版の英国レストランガイドで最高評価を受けた和食店のレストラングループが6月、日本初進出となる店「祇是(ぎぜ)」を神戸・三宮にオープンした。ヘッドシェフは、京料理の老舗料亭で修業を積んだ33歳の若きデンマーク人。「兵庫県は素晴らしい食材の宝庫」と、調味料や酒、器まで県産にこだわり、カウンター越しの厨房(ちゅうぼう)でこよいも腕を振るう。(今泉欣也)

 同グループはロンドンを拠点とし、同ガイドで1位に輝いた「Endo at the Rotunda」のオーナーシェフ遠藤和年(かずとし)さんが料理ディレクターを務める。日本での出店を考えていたところ、遠藤さんの下で働いていたキャスパー・エリック・ソレンセンさんが手を挙げた。

 キャスパーさんは学生時代、母国のすし店でのアルバイトをきっかけに和食に魅せられ、9年前に京都市の特定伝統料理海外普及事業で同市の料亭「木乃婦(きのぶ)」に外国人料理人として受け入れられた。2年半にわたり日本料理の知識や技能を習得した際、兵庫産の食材を取り扱う機会が多く、その多様性に驚いたという。

 神戸牛、明石の魚、丹波の黒豆、朝倉サンショウ-。「いつかこの地でレストランをしたい」。遠藤さんの妻が神戸出身という縁もあり、夢がかなった。

 メニューは、計16品の「おまかせコース」(2万2千円、別途サービス料)のみ。信頼する県内各地の生産者から取り寄せた旬の食材などを使い、和食をベースにフレンチ、イタリアンなどさまざまなアレンジを加えて提供する。

 料理人として、新型コロナ禍に接客できず寂しい思いを経験したことから、店では「お客さまと一緒にわいわい楽しく過ごしたい」と、コースを午後6時に一斉スタート。オープンキッチンで調理の様子を惜しげもなく披露する。「あの魚なんだろう…」。客同士の会話が弾むと笑顔で輪に入る。

 休日など時間を見つけて出歩き、新たな食材に出合ったり、自然に触れたりすることで「兵庫の魅力は一層強まっている」とキャスパーさん。「料理を通じてこの店から日本各地に、世界に発信していきたい」と意気込む。

 カウンター12席で完全予約制。定休日は8月19日まで月、火曜。同24日からは日、月曜。予約はホームページ(https://gizekobe.com)から。