能登半島地震の発生から間もなく4カ月となる。被害が集中した石川県では、被災家屋の片付けなどの人手が圧倒的に不足している地域がある。多くの人が避難所に身を寄せ、避難生活の長期化が心身に与える影響も懸念される。このままでは復旧、復興に遅れが生じかねない。ボランティアの力がさらに必要だ。

 阪神・淡路大震災が起きた1995年は「ボランティア元年」と呼ばれ、延べ約140万人が支援に駆けつけた。大災害があればボランティアが被災地で汗を流す。今や災害支援に欠かせない存在といえる。

 ただ、今回は被災地での活動がなかなか広がらない。

 石川県に事前登録したボランティアは3万7千人を超える。被災市町から要請があった人数を、県が取りまとめて派遣しているが、実際に活動できる人数はまだ多くない。

 奥能登では断水で宿泊施設の確保が難しいうえ、道路が復旧途上で金沢市を拠点にバスで日帰りするケースが多い。実際の活動は4時間程度で効率は良くない。受け入れ側も態勢が十分とは言えず、社会福祉協議会が設置する災害ボランティアセンターの運営にNPOなど専門ボランティアをもっと活用してはどうか。

 初期対応がいまだに尾を引いているとの指摘もある。石川県は発生直後、被災地の寸断された道路状況などを理由に、個別に能登地方に入ることを控えるよう呼びかけた。このため、現地入りした人を非難する動きがみられた。気になるのが、3カ月以上たった今も個人単位での活動を控えるよう求めている点だ。

 過去の災害でも、行政側は受け入れ態勢の問題などでボランティアを敬遠する傾向がみられた。だが、経験を積み重ねたボランティアは増えている。被災者にとって何が必要かという視点で捉えるべきだろう。

 ボランティアが活動しやすい環境整備も考えていきたい。能登の地震を受け、兵庫県は災害ボランティアへの支援制度を拡充した。県内に拠点を置く10~20人のグループや団体に交通費、宿泊費など最大85万円を助成するが、期間や活動地域が限られるなど課題もある。実態に応じた工夫で「役に立ちたい」と集う人たちの善意を生かしてほしい。

 ひと足早く4月中旬に石川県珠洲(すず)市に入り、災害廃棄物の撤去などをした神戸市の任意団体「全国災害ボランティア支援機構」代表理事の高橋守雄さん(75)は「仮設住宅への転居や農作業の手伝いなど、長く支援の手を届け続けたい」と話す。

 能登だけでなく、今後の災害に生かすためにも「支援する側を支える」仕組みを整え、息の長い活動につなげなくてはならない。