「首都の顔」を選ぶ東京都知事選は20日に告示され、7月7日に投開票される。
すでに立憲民主党の蓮舫参院議員が、無所属での立候補を表明している。派閥の政治資金パーティー裏金事件で揺れる自民党を批判し、自民との連携を探る小池氏では「改革はできない」と主張した。
現職の小池百合子知事は、2期目最後となる都議会定例会の所信表明で立候補の意向について言及しなかったが、無所属で3選を目指す方向とみられる。
新型コロナウイルス感染症対策や東京五輪など、2期8年の小池都政に有権者の評価が下される。子育て支援や災害対策など課題は多い。候補者の顔触れによっては解散総選挙の前哨戦になりうる。国政や他都市の施策にも影響を与える可能性があり、論戦を注目したい。
蓮舫氏は東京選挙区選出で、民主党政権の行政刷新担当相を務めた。政府予算の無駄を洗い出す事業仕分けでは歯に衣(きぬ)着せぬ発言で存在感を示した。「古い政治と決別し、本当に必要な政策に予算を振り向ける」と立候補の動機を述べた。
小池氏は芦屋市出身で環境相、防衛相を歴任。地域政党「都民ファーストの会」の特別顧問を務める。すでに公明党と52区市町村長が立候補を要請した。
全国的に関心を集める争点は、一極集中の解消策だ。コロナ禍でテレワークが普及し一時は止まっていた首都圏への人口流入が、再び増加に転じている。一方で出生率は低く、社会保障負担の急増が懸念される。都としても是正策を考えねばならない。首都直下地震への備えもいま一度確認する必要がある。
選挙の構図はまだ固まっていないものの、すでに20人近くが立候補の意向を示している。留意すべきは4月の衆院東京15区補選で見られた、対立候補の演説を聞けなくするような選挙妨害を起こさせないことだ。
与野党からは厳罰化など規制強化を求める声が上がっているが、安易な法改正は言論を萎縮させる懸念がある。しかし同じようなことが繰り返されれば、改正の動きが強まりかねない。
民主主義の根幹を成す公正で自由な選挙を守る候補者を見極めるのも、有権者の役割だ。