日本の今年夏(6~8月)の平均気温が、1898(明治31)年の統計開始以来、昨年夏と並んで最も高かったと気象庁が発表した。都市化の影響が小さく、特定の地域に偏らない全国15地点で得た平均気温が、平年(2020年までの30年間平均値)と比べ、1・76度高かった。
7月の平均気温が平年を2・16度上回って過去最高を記録し、6月と8月も過去2番目だった。近畿(平年プラス1・3度)や東海、中国、四国などで最高記録となった。
兵庫県内では、8月13日と14日に西脇で最高気温39・5度、同23日に豊岡で39・7度を記録、観測史上最高(39・4度)を次々と更新した。神戸の猛暑日は18日あり、8日間連続の猛暑日が2度あった。
気象庁・異常気象分析検討会の中村尚会長(東京大教授)は「異常気象と言って差し支えない。長期的な地球温暖化で日本の気温は底上げされている」と述べた。暑さは災害級であり、年々気温が上昇する気候変動を深刻に受け止めるべきだ。
猛暑は健康にも大きな影響を与えている。総務省消防庁によると、熱中症による搬送者の数は約8万3千人(4月29日~8月25日の速報値)で、昨年より5千人以上増えた。死亡者も7月だけで62人となった。
環境省は4月、熱波に備える「熱中症特別警戒アラート」の運用を始めた。全国各地の自治体は、アラート発表時に開放する指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)を設けた。県内でも公共施設や商業施設が指定されている。だが自宅でエアコンを使わず、熱中症になる高齢者らも目立つ。空調がなければ健康を維持できない環境が数カ月も続く現状に危機感を持たざるを得ない。
原因について、気象庁は日本列島の東西からの「ダブル高気圧」の影響を挙げる。東から太平洋高気圧、西からチベット高気圧が張り出し、上空と下層で二つが重なったためだという。日本近海の海面水温も平年を1・5度上回っており、これも高温に関わっているとみられる。
猛暑は地球規模で広がる。ギリシャやトルコでは大規模な山火事が起きた。気温上昇や乾燥が被害を大きくしていると指摘される。温暖化対策は国際社会の喫緊の課題である。
二酸化炭素などの温室効果ガス排出削減について、30年度に13年度比46%減としてきた政府は、35年度に13年度比「60~66%減」に改めることを検討する。先進国の一つとして日本には排出してきた責任があり、脱炭素の対策強化は当然だ。早急に踏み込んだ目標を定めるとともに、再生可能エネルギーの拡大、化石燃料からの脱却などの具体策に取り組まなければならない。