阪神・淡路大震災から30年の17日、スポーツ界でもサッカーJリーグのヴィッセル神戸やプロ野球オリックス・バファローズ、バスケットボールBリーグの神戸ストークスの選手らがそれぞれ黙とうをささげた。
ラグビー・リーグワンの名門、コベルコ神戸スティーラーズの選手らも犠牲者たちの冥福を祈り、躍進を誓った。震災直前に日本選手権7連覇を成し遂げ、その後も被災地に勇気を与えたことは記憶に新しい。
今季は1勝3敗と苦戦するが、まだ序盤である。30年の節目に復興の象徴として勝利を積み重ねてもらいたい。
チームは神戸製鋼所ラグビー部として戦前に発足した歴史を持つ。「ミスターラグビー」こと平尾誠二氏らを擁し、1995年1月に7連覇を達成した。
震災発生はその2日後だ。練習場所のグラウンドが液状化現象のため亀裂から泥水が噴き出すなど大きな被害を受けたが、土砂が積まれる中で練習を再開した。著名選手を輩出したほか、2018年には18大会ぶり10度目の日本選手権制覇を果たすなど、日本ラグビー界をけん引してきた。
今季の開幕前、神戸市灘区出身の李承信(リスンシン)選手は震災30年を念頭に「大事な一年」と意気込んだ。李選手を含め震災を知らない若い選手も被災地に心を寄せる姿勢を忘れないのは、震災を乗り越えた経験をチームとして継承しているからだろう。
神戸製鋼所はラグビー人口の拡大に向けて、高校生の支援を続けている。05年に始まった「全国高校合同チームラグビー大会」では、部員不足でチームを組めない高校の選手を集めて試合を行うほか、スティーラーズの現役選手らが指導役を担う。11年からは「全国高校女子合同チームラグビー大会」も同時に開催している。日本ラグビーを代表する選手が現れるのを期待したい。
きょうは神戸市兵庫区のノエビアスタジアム神戸で浦安D-Rocksと対戦する。被災経験を次代へ語り継ぐことを狙い、この日限定のメモリアルジャージを着用する予定だ。平尾氏らが見せた胸のすくようなプレーを受け継ぎ、ラグビーの魅力を放ち続けてほしい。