大阪・関西万博は13日で開幕から3カ月となり、10月13日までの会期の折り返しを迎える。当初の出足は鈍かったものの、6月29日には来場者数が1千万人(関係者を含む)を突破した。チケット販売枚数も同27日時点で累計1509万枚に達し、黒字の達成に必要な1840万枚の販売も見えてきた。
開幕前は会場建設費や運営費が当初予定から大幅に膨らみ、パビリオンの建設遅れ、前売り券の販売が不振を極めるなど、多くの課題を抱えていた。
1日平均入場者数は4月は約10万人だったが、大型連休以降は右肩上がりで、5月は約12万9千人、6月(28日まで)は約14万6千人と連日活況を呈している。三菱総合研究所の調査では、5月13日までの来場者の73%が「満足」と回答した。
来訪者が交流サイト(SNS)で世界の食や文化を発信するなど万博の魅力が浸透し、好評価にもつながったようだ。
一方で、「人気パビリオンの予約が取れない」など不満も聞かれ、「並ばない万博」は看板倒れになっている。過度の混雑は思わぬ事故を招きかねない。平日や夜間入場の推奨、正確な待ち時間の告知などで来場者の分散を図る必要がある。酷暑の夏、待ち時間の短縮は熱中症対策にもなるはずだ。安全・安心の徹底に万全を期してほしい。
大切なのは、来場者の満足度を高めることだ。予約枠の拡大や待つ間にも楽しめる企画などさらなる工夫が求められる。
会期が後半に入り、万博がレガシー(遺産)として何を残すかが改めて問われる。
世界最大級の木造建築物、大屋根リングは一部を現地保存する案が検討されている。遺産と言えば、前回大阪万博の「太陽の塔」など建築物を連想しがちだが、万博の開催意義や理念を再認識することが重要だ。
「未来社会の実験場」を掲げ、分断や課題を乗り越え、対話や交流を深めることを目的とする万博には160を超す国などが参加する。多様な価値観を共有し、未来に向けて何をするべきか。一過性の催事に終わらせず、来場者が問題意識や行動への意欲を持つことにつなげる。それこそが万博が残すべき最大の遺産となるのではないか。