自民党派閥裏金事件に端を発した「政治とカネ」の問題を受け、今回の衆院選でも政治改革は重要な争点となっている。
事件を受けた企業・団体献金の見直しを巡る議論は、与野党の意見対立から、結論を得るとした期限を三度も先送りされた。これでは信頼回復には程遠い。
不信を断ち切るには、企業・団体献金の禁止を含む抜本改革が欠かせない。各党は覚悟と手だてを明確に示すべきだ。
前回衆院選と昨夏の参院選で自民が大敗した主因は裏金問題への批判である。参院選の総括で「不信の底流」と明記し解党的出直しを誓ったはずだ。しかし抜本改革には踏み出そうとせず、全容解明と規制強化を求める公明党の連立離脱を招いた。
高市早苗首相は新たに日本維新の会と連立を組み、維新が唐突に持ち出した国会議員定数の削減に力を入れる方針に軸足を移した。裏金に関与した議員を党三役や政務三役に登用したほか、事件の震源となった旧安倍派幹部らの復権も顕著だ。
今回の衆院選でも裏金に関わった43人を公認し、比例代表への重複立候補を認めた。裏金議員を公認せず重複立候補も認めなかった前回衆院選とは一変した。首相は「みそぎは終わっていないが、働く機会を与えてほしい」と述べるが、真摯(しんし)な反省はうかがえない。
高市政権でも政治資金を巡る疑惑は後を絶たない。首相や閣僚が代表を務める自民支部が法定の上限額を超える献金を受け取っていた問題や、維新幹部らの身内への公金還流なども発覚した。
金権腐敗の元凶と指摘される企業・団体献金の見直しは「平成の政治改革」で積み残された30年来の懸案である。論点をそらし、抜本改革を避けていては、政治とカネの問題は繰り返されるだろう。
企業・団体献金を巡る公約は与野党で隔たりが大きい。自民は「公開と透明性の強化」を唱えるが、その核心は献金の温存だ。野党時代に全面禁止を掲げた維新は、与党入りした今回「全面禁止を目指し、個人献金を促進」とし、与党間にも足並みの乱れがある。
一方、野党の立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合や国民民主党は企業・団体献金の受け手に対する規制強化を、共産、れいわ新選組、参政、社民の各党は企業・団体献金の禁止を主張している。チームみらいは、テクノロジーを活用した政治資金の流れの可視化を提唱する。
政治への信頼は全ての政策遂行の前提である。衆院選でどの党・候補者が抜本改革に本気で取り組もうとしているか、しっかり見極めたい。























