ミラノ・コルティナ冬季五輪が閉幕した。90以上の国と地域から約2900人が参加し、競技を通して人間の持つ可能性を表現した。
今大会では、地元の負担を分散・軽減するために四つの会場群に分かれる広域開催が試みられた。史上初めて複数の都市名を冠した五輪は、今後の試金石となる。国際オリンピック委員会(IOC)のコベントリー会長は「人々の期待を超えた」と成功を強調するが、重要なのは検証作業である。参加各国が協調し、改善点を洗い出してほしい。
冬季五輪は、巨額の財政負担に加え、地球温暖化による開催地の減少などの課題に直面している。
今大会は招致段階から分散開催を想定し、既存の競技施設の活用などで経費削減を図った。選手や関係者の移動などの懸念はあったものの、大きな混乱はなかった。4カ所の開会式で同時に行進するなど、選手の一体感を保つ工夫が見られた。次回以降の参考にすべきだろう。
気候変動の影響はより深刻だ。今回は都市部と山岳部に分かれ、競技は従来通りに実施できた。しかしIOC総会での報告によれば、冬季五輪が開催可能な国は現状15カ国のみで、2040年には10カ国にまで減るという。大会が存続の危機にある事実を、温室効果ガスの大量排出国は重く受け止める必要がある。
国連総会で採択された休戦協定が守られず、会期中も戦火が続いたのは残念だった。平和の祭典の理念で世界を包むことはできなかった。
ウクライナ侵攻後のロシアなどは国としての参加が禁じられている。一方、パレスチナ自治区ガザに攻撃するイスラエルやベネズエラで軍事作戦をした米国には処分がない。これは二重基準だとの批判は根強い。ロシアの攻撃で死亡した選手の顔を描いたヘルメットを着用し、失格になったウクライナ選手の問題でも賛否が起こった。IOCには議論を深め、見解を示す責務がある。
日本は金5、銀7、銅12の史上最多となる計24個のメダルを手にした。前回北京大会の18個を超える成績は称賛に値する。兵庫ではフィギュアスケート・ペアの三浦璃来選手=宝塚市出身、木原龍一選手が金メダル、フィギュア女子の坂本花織選手=神戸市出身=が銀メダルに輝いた。表彰台に届かなかった選手も含め、努力と活躍に賛辞を贈りたい。
フランス・アルプス地域を舞台にする次回30年大会も、2地域圏、四つの会場群で実施される予定だ。スピードスケートは国外での開催も検討され、さらに広域化する可能性もある。IOCは選手の声にも耳を傾け、持続可能な冬季五輪の在り方を探らねばならない。

























