世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求を巡る即時抗告審で、東京高裁は「現在も不法な献金勧誘が行われる恐れがある」として東京地裁による解散命令決定を支持した。命令の効力が生じて教団は宗教法人格を失い、税制上の優遇措置も受けられなくなる。裁判所が選んだ清算人が教団財産の調査・管理や献金被害者への弁済を進める。
教団側は「不当な司法判断を決して容認しない」として最高裁に不服を申し立てる方針だが、弁済の手続きについては裁判所への協力が不可欠だ。最高裁で解散命令が取り消されれば清算手続きも止まるが、献金被害者の救済は命令の可否にかかわらず教団の責務である。
被害救済を巡っては、教団財産の監視を強化する被害者救済特例法が2023年に成立したが、財産の流出を直接防ぐことはできない。国は救済を確実にするあらゆる措置を急がねばならない。
裁判では民法上の不法行為が解散命令の理由になるかが問われた。過去にオウム真理教と明覚寺に出された2件の解散命令はいずれも幹部が刑事事件で有罪となった。
文化庁は宗務課の担当者を大幅に増員し、全国の170人超の被害者を訪ねて悪質な勧誘や家庭崩壊の実態に関する膨大な証拠を積み上げた。「宗教弾圧」との批判に備える手続きとして評価できる。
解散命令を踏まえ、被害救済は本格化する。教団への気兼ねから被害を申告できない人もいるだろう。信仰を失い、空虚感に苦しむ人も出てくるに違いない。国や自治体、支援団体が連携し、経済、心理面の立ち直りを支援する必要がある。
1996年に解散命令が確定したオウム真理教を巡っては、犯罪行為とは無関係の信者も猛烈なバッシングを受けた。信教の自由は憲法で保障されている。信者や元信者を排除しない心構えを持ちたい。
積み残した課題はほかにもある。政治責任の追及だ。
教団と政界との癒着は2022年の安倍晋三元首相銃撃事件で改めて注目され、自民党は所属議員の申告に基づく調査結果を公表した。だが最近も選挙応援に関する教団の内部文書が明るみに出るなど疑惑は拭えず、高市早苗首相も教団と関係があるとされる世界日報のインタビューを5回受けたことが判明した。
そもそも自民が教団との蜜月関係を築いた経緯も未解明だ。教団が名称を変更して生き残り、献金被害者の救済が遅れたのは、政治の怠慢と言わざるを得ない。
自民は解散命令を「免罪符」とせず、議員との関係を再調査し、実態解明の責任を果たすべきだ。

























