米国、イスラエルとイランとの今回の戦闘は「史上初の本格的な人工知能(AI)戦争」ともされる。AIはロシアによるウクライナ侵攻でも両国が軍事利用し、高度化が加速している。人間が制御できなくなる前に歯止めをかける必要がある。
米軍は、妨害電波の影響を受けにくく自律飛行できるAIを搭載した自爆型ドローンを、初めて実戦に投入した。イランも同様のドローンを大量に使い、イスラエルを含む周辺国に報復攻撃を繰り返している。
導入が進む背景には、従来主力だった精密誘導ミサイルに比べ、自国の人的被害を抑えられる上、低コストで効率的に攻撃できる点がある。数多くの命を奪っているという実感もなく、攻撃は激しくなる。
AIの軍事利用はドローンにとどまらない。米軍は戦闘の計画策定にまで活用し、イスラエルは攻撃目標をリスト化し追跡するシステムを導入しているとされる。
危惧されるのは、人間が介在せずAIが自ら目標を選択し、追尾・攻撃する完全自律型致死兵器システム(LAWS)の実用化が近い点だ。非人道的な攻撃を抑制する倫理面のハードルが、さらに低くなるのは必至と言える。
今回、イラン南部で小学校が爆撃され160人以上が犠牲になった。米軍のAIの誤判定が原因との見方がある。誤作動や暴走の懸念があるAIが偶発的にでも核兵器と結びつけば、世界を破滅に導きかねない。
AIの軍事利用は米国が先行し、中国やロシアが追随する構図だ。LAWSを規制する国際ルールづくりについて国連では10年以上前から議論を重ねているが、米中ロの利害対立などで遅々として進まない。グテレス事務総長は2026年中にLAWSを禁止・規制する法的文書を作成するよう求めているが、先行きは不透明だ。
空中で数百個もの子爆弾をまき散らすクラスター(集束)弾は「人道に反する兵器」として使用や製造が国際条約で禁止されている。日本は条約加盟国だが、23年に条約未加盟の米国がウクライナに供与する方針を、事実上追認した経緯がある。今回のイラン攻撃でのAI利用については、イランだけでなくイスラエルや同盟国の米国に対しても残虐さを糾弾するべきだ。
AI兵器は火薬、核兵器に次ぐ「第3の軍事革命」とも指摘され、クラスター弾以上に反人道的な面を持つ。技術の急速な進歩に法整備が追いついていない。
日本は唯一の戦争被爆国として各国の先頭に立ち、開発・保有・使用を全面禁止する条約の制定に汗を流してもらいたい。
























