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 米国と中国の首脳会談は、関係の安定化へ向けて協力する姿勢を強調して1日目を終えた。きょう15日も再び会談が予定されている。

 会談の冒頭、習近平国家主席が「パートナーとして共に栄えるべきだ」と呼びかけると、トランプ大統領は「(両国関係は)かつてないほど良くなるだろう」と応じた。

 米国とイスラエルによるイラン攻撃が招いたエネルギー価格の上昇は世界経済を混乱させている。戦闘終結も見通せない。にもかかわらず、二大国が事態の打開や平和の構築にどう取り組むかが具体的に伝わってこないのは残念だ。

 今回の会談で両者が軸足を置くのは、経済的な実利の追求である。

 中東情勢の混乱は米中の経済にも打撃を与えている。特に支持率の低下に直面するトランプ氏は、秋の中間選挙を控え中国とのディール(取引)で成果を上げる重要性を痛感しているだろう。ITや航空機、半導体などの米企業トップを同行させたのはその表れと言える。

 両首脳は、昨年10月に韓国で行った会談で関税や輸出規制の応酬を1年間停止する「貿易休戦」で合意した。この延長についても協議するとみられる。

 イラン情勢を巡っては、イランの核保有を認めないことや、ホルムズ海峡を開放する必要性について一致したという。

 トランプ氏はイランとの停戦交渉の行き詰まりに焦りを隠せないでいる。中国はイランにとって最大の貿易相手国だ。海峡の開放に向け、中国に対してイランに圧力をかけるよう、米国が要求する可能性が取り沙汰される。その場合、イランとの友好関係を維持したい中国は難しい対応を迫られよう。

 日本にとって極めて重要な台湾問題については、どこまで突っ込んだやりとりがあったのか現時点では明らかではない。ただ、習氏は台湾への対応を誤れば、衝突し「(米中の)関係が危険な状況に向かう」とけん制したほか、台湾への武器輸出には慎重な対応を求めたようだ。

 米国は台湾の独立について、地域の不安定化を招くとして「支持しない」との立場を堅持してきた。中国との貿易交渉を有利に運ぶために、トランプ政権が台湾問題で習氏に譲歩するようなことがあってはならない。注視が必要である。

 会談後の夕食会でトランプ氏は前向きな協議ができたと振り返った。しかし、米中関係は依然脆弱(ぜいじゃく)で、安定的な関係構築の土台ができたとは言い難い。両国は目先の利益を超え、国際秩序の維持に貢献するべきだ。そのためにも根深い相互不信感を払拭する努力が一層求められる。