優れた業績のあった兵庫県ゆかりの個人・団体に贈られる「神戸新聞平和賞」など各賞の表彰式がきのう開かれた。80回となる今年は期せずして、国際的な活動で確かな足跡を残した方々がそろった。揺れ動く世界に身を置きながら、信念を貫き、成果を積み重ねてきた。地道な努力の結実に心から敬意を表したい。
平和賞には、内戦などで混乱が続くアフガニスタンの支援に長年取り組む「宝塚・アフガニスタン友好協会」代表の西垣敬子さん=宝塚市=が選ばれた。還暦目前の1994年、難民キャンプに物資を届けたのに始まり、2016年までに同国を単身で40回以上訪れた。
心を砕いたのは、抑圧された女性や子どもへの支援だ。現地で困り事を聞き、日本で集めた資金を活動に充てる。一人一人に心を寄せる「草の根」のスタイルに徹し、深い信頼を築いた。昨年、90歳を前に久々に現地に渡った。タリバン暫定政権の監視をかいくぐって細密画を描く女性作家らの作品を持ち帰り、展示・販売して収益を届ける。閉ざされた世界で懸命に生きる女性たちに、希望の光をともし続けている。
文化賞は、浮世絵コレクター・研究家で、抽象画家でもある中右瑛(なかうあきら)さん=神戸市灘区。60年かけて写楽らの希少な作品を収集し、国内各地や台湾、ポーランドなどで巡回展を開いた。国際浮世絵学会常任理事として浮世絵文化の保存や普及、国際交流にも力を尽くした。
社会賞は、宗景(むねかげ)正さん=尼崎市。中国残留日本人らの日本語教室「コスモスの会」を尼崎市で開いて18年。孤児らの学びを支え、地域との架け橋を担ってきた。2年前から多様な外国人を受け入れる夜間部を設けた。排外的な風潮が台頭する今、安心できる地域の「居場所」は、共生社会の実現に欠かせない存在だ。
スポーツ賞はフィギュアスケート界の2人に。冬季五輪2大会連続メダルの坂本花織さんらを指導したインストラクター中野園子さん=神戸市東灘区=は、練習環境に恵まれなかった神戸を拠点に世界に通用する選手たちを育てた。厳しくも愛情深い人間力で、神戸のスケート文化普及に果たした役割は大きい。
三浦璃来(りく)さん=宝塚市出身=は、ミラノ・コルティナ冬季五輪で木原龍一さんとの「りくりゅう」ペアで日本勢初の金メダルを獲得し、ペア種目の新たな歴史をひらいた。現役は引退したが、スピードと繊細さを併せ持つ美しい演技は、いつまでも私たちの記憶に残るだろう。
地域で、世界で、生きる勇気と希望を体現した受賞者の皆さんは兵庫の誇りだ。この先も続く歩みに、エールを送りたい。























