超党派の「社会保障国民会議」が、夏前の中間取りまとめに向けて議論を加速させている。主要テーマの「給付付き税額控除」では、政府側が原案を提示した。所得に応じて4段階で給付金額を変える一方、減税は当面見送る。
所得税減税に加え、非課税や低所得で減税の恩恵が少ない人に現金を給付するのが給付付き税額控除だ。2月の衆院選では政権与党に加え一部の野党も実現を訴えたが、公平を期するため配当などの金融所得を把握する必要があり、制度設計も複雑になる。減税見送りは実施しやすいところから始める意図が透ける。
物価高に収束の兆しが見えず、国民が対処を求めているのは確かだ。ただ給付のみならこれまでもよく使われてきた手法で、「国民会議」を開くまでもない。これで議論を終わらせてはならない。
政府案は具体的な給付額や給付対象を示してはいない。国民会議では有識者が、日本は諸外国と比べ税と社会保険料の負担率が中低所得層で高いことを指摘しており、支援の対象を絞り込むのが本筋だろう。
しかし政府案では高齢者も給付対象に含めるほか、子育て世帯には給付額の加算などを求めた。これでは「ばらまき」との批判は免れない。
国民会議のもう一つの主題は、衆院選で与野党の大半が公約に掲げた消費税減税だ。3日の実務者会議では、税率ゼロはレジ改修などに時間を要するが、1%なら半年程度に短縮できると確認した。これを受け高市早苗首相は、2027年4月から飲食料品の消費税率を1%とする方向で月内にも最終判断する。
首相は社会保障改革の「本丸」を給付付き税額控除とし、実現までの「つなぎ」として27年3月末までに飲食料品の消費税率をゼロに下げると衆院選で公約した。しかしいずれも課題は多く、早期実現は難しいと指摘されていた。税額控除に踏み込まず消費税率はゼロにしない。これでは国民会議は首相の描く日程を優先するあまり、やりやすい点だけで結論を急いだと言わざるを得ない。
見過ごせないのは、給付付き税額控除も消費税減税も財源の論議が棚上げされている点だ。消費税率を1%に下げれば年間約4兆円の税収が失われる。給付付き税額控除も内容次第では数兆円が要る。国債で穴埋めすれば財政悪化に拍車がかかる。そのリスクに向き合うべきだ。
消費税は社会保障の財源であり、減税となれば医療や介護、さらに子育て支援などの行政サービスの低下につながる恐れがある。各党は代替財源を見いだすとともに、加速する少子高齢化を見据えて負担と給付の公平な在り方を探る必要がある。























