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 3月期決算企業の大半で、株主総会が終了した。株式を事前に買い集め発言力を強める「物言う株主」などからの提案を受けた国内企業が、今年は55社と過去最多になった。

 歴史的な株高を背景に、成長の波に乗れない企業では経営陣の刷新を迫る要求が目立った。兵庫県内で提案を受けたのは3社と例年並みだったが、投資ファンドから収益安定化に向けた特別委員会の設置を求められる例もあり、株主の視線はいっそう厳しくなっている。

 総会は1年間の企業活動を総括し、経営陣と株主が直接顔を合わせる貴重な場だ。建設的な対話を重ねる機会としたい。

 各社が総会で報告した3月期決算からは、景気の底堅さがうかがえた。県内に本社を置く上場企業も、純利益が増えるか黒字に転換した企業が67%と前年から大きく改善した。生成人工知能(AI)の普及を背景に半導体関連が売り上げを伸ばし、大阪・関西万博の開催や運賃値上げで運輸業界も好調だった。

 だが手放しで喜べない。最大の懸念材料は中東情勢だ。米国とイランの間で戦闘終結に向けた覚書が発効し、ホルムズ海峡の開放に向けた動きは進むが、先行きは見通せない。海峡周辺のインフラ損傷などで、原油供給が戦闘前の水準に回復するには時間がかかると指摘される。

 実際、県内企業からはナフサ由来の合成ゴムや溶剤、包装材などの調達難や価格高騰を懸念する声が根強い。事態の収束が遅れれば業績下振れにとどまらず、幅広い生産停滞や消費全体の冷え込みを招きかねない。

 不透明な情勢で問われるのはトップの姿勢だ。東京証券取引所は2023年に「資本コストや株価を意識した経営」を企業に要請した。中長期的な方針に立ち資本や資産の使い道を明確に示すことで、投資家の関心がより長い期間の収益へと変わり、企業と投資家の対話の質が高まるのを期待できるという。高収益を内部留保にとどめず、賃上げや設備投資へと果敢に振り向ける判断も必要だ。

 株主との対話に真摯(しんし)に向き合って「稼ぐ力」に磨きをかけ、不確実性を乗り越え地域経済の好循環をもたらすけん引役となることを強く期待したい。