過酷な暑さが続く。最高気温40度以上を対象に今年から名称が設けられた「酷暑日」が、すでに各地で観測されている。気象庁によると、8月末まで全国的に平年より気温が高くなる見込みという。暑さが厳しさを増すにつれ、熱中症のリスクも高まる。職場でも対策は不可欠で、政府や事業者には働く人の命と健康を守る責務がある。
7月13~19日には熱中症による全国の救急搬送が1万857人に上り、前週から2倍以上に急増した。兵庫県内でも659人が搬送された。もはや自然災害と同等の警戒が必要な事態と言える。
働き手の健康を守るための改正労働安全衛生規則が昨年6月に施行され、職場での熱中症対策を取ることが事業者に義務づけられた。気温31度以上などの環境下で、「連続1時間以上」か「1日4時間超」の作業をする場合が対象となる。
発症者が出た際の職場内や医療機関への連絡体制の整備、水で体を冷やすなど救急車が来るまでの手順の作成、これらの従業員への周知が義務化の柱だ。対策を怠った場合、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性がある。
気がかりなのは、制度が十分に知られていないことだ。国は各地の労働局を通じて周知を徹底し、必要な対策を取るよう事業者に強く促さなくてはならない。余力のない中小企業も適切に対処できるよう、国や自治体は支援を強化するべきだ。
職場での熱中症による死傷者は増加している。2025年の死者と4日以上の休業者は前年比546人増の計1803人となり、過去最多を更新した。ただ、死者は19人で22~24年の30人台から減少した。対策の義務化が一定程度の効果を出しているとみられるが、それでも多くの命が失われた事実は重い。
25年までの5年間の死者数を年齢別に見ると、50代以上が全体の約65%を占める。高齢者は体力が衰えやすく、暑さや水分不足に気づきにくい。現場で複数の作業員が互いに健康状態を確認し合う「バディ制」などの導入も検討してほしい。
建設業など屋外で働く人だけでなく、空調の効いた工場や倉庫で熱中症になる人も少なくない。暑さを感じたらためらわずにエアコンを使い、こまめに水分や塩分を補給する。作業時間の短縮・変更や十分な休憩時間の確保にも柔軟な対応が求められる。業界全体で必要な対策を共有し、労働環境の改善に努めたい。
近年の世界的な猛暑の要因とされるのが地球温暖化である。これを抑制しなければ、気温はさらに上昇するだろう。脱炭素の取り組みも各業界で加速させる必要がある。
























