神戸市の有識者検討会が、都心の分譲マンションを対象とした「空室税」導入を求める答申を久元喜造市長に提出した。久元市長は「答申の実現へ努力する」と前向きな姿勢を示し、市は条例化の検討を進めている。実現すれば、居住実態のないマンション空室に対する全国初の課税となる。
同市は2020年、都心部でタワーマンション(タワマン)の建設規制を設けた。住宅地化を防ぎ、商業・オフィス機能を高めることなどが目的だった。同時に都心のマンションの高い空室率を問題視してきた。
三宮周辺のタワマン建設規制エリア(新神戸駅から神戸駅までの約315ヘクタール)内では、住民登録のない部屋の割合が19%に上る。このままでは将来、管理不全や廃虚化が起きかねない。新税の導入により、リスクの低減につながる可能性がある。
とりわけ神戸市が念頭に置くのは、投資目的で所有する非居住者だ。そうした所有者の増加は価格高騰を招き、居住希望者の購入を妨げる。マンション管理の専門家が「収益重視の非居住者は、修繕積立金の値上げに反対しやすい」と言うように、修繕や建て替えに向けた合意形成を困難にする懸念もある。
答申が課税対象をタワマンに限定せず、都心の全分譲マンションとしたのは合理的と言える。タワマンの明確な定義は難しく、空室の有効活用を促すには、全体を対象とする方が実効性が高い。居住者を増やすことが管理組合の担い手不足を解消し、適正な建物管理につながるという副次的効果もある。
一方で課題も多い。法定外税を設けるには、市会の議決と総務大臣の同意が必要となる。固定資産税との「二重課税」になるという批判に対し、課税の根拠や負担の妥当性を納税者にどう説明するかも問われる。
また、転勤や施設入所といった一時的な非居住など、個々の実情に応じた配慮も求められる。厳密な居住実態の把握と丁寧な制度設計が不可欠だ。
先行自治体の動きも参考にしつつ、市は施行までに十分な期間を設け、市民に丁寧に周知すべきだ。社会情勢に合わせた見直し規定の導入も含め、納得のいく合意形成を進めてほしい。
























