沖縄県知事選で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を容認し、全国最低水準にとどまる県民所得の倍増を掲げた元那覇市副市長の新人古謝(こじゃ)玄太氏(42)が、辺野古移設に反対し、2期8年の実績を訴えた現職玉城(たまき)デニー氏(66)らを破り、初当選を果たした。
日米両政府による2006年の移設合意後、移設受け入れを表明した知事候補の当選は初めてだ。沖縄県は、故翁長雄志(おながたけし)知事、玉城知事時代の12年間、民意を背景に、移設反対の姿勢を貫いてきた。今回は極めて大きな県政の転換となる。
古謝氏は自民党と日本維新の会、国民民主、参政、日本保守の各党の推薦を受け、公明党県本部の応援も得た。各党幹部が相次いで沖縄入りするなど優位に選挙戦を進めた。
玉城氏は移設反対勢力「オール沖縄」が支え、立憲民主、共産、社会民主各党といのちの党の支援を受けた。オール沖縄は市長選などで連敗していたが、退潮が決定的となった。今年3月の辺野古沖転覆事故で移設反対運動への批判が強まり、玉城氏に逆風となったのは否めない。
古謝氏は沖縄振興予算の大幅増額要求などの経済対策を打ち出した。以前の振興予算は3千億円台だったが、移設に反対する玉城県政では22~26年度、2600億円台にとどまった。古謝氏当選を受け、政府は、27年度は3千億円超に増やす方向で調整に入った。県との協調を印象付ける狙いは明らかだが、移設を巡る問題が解消したわけではない。
今回の選挙では、米軍基地問題よりも、古謝氏が強調した経済活性化に有権者が関心を寄せたとされる。だが県民は、米軍統治時代から「基地のない平和の島」を求めてきた。米兵による凶悪事件や事故が後を絶たず、基地への反発は根強い。観光業など第3次産業に依存するいびつな産業構造も、元々は基地の集中に由来する。経済の自立のためにも、古謝氏には基地の整理縮小に向けた具体的な取り組みが求められる。
普天間の早期返還には辺野古移設が必要と古謝氏は主張した。ただ、辺野古沖の軟弱地盤改良は前例のない難工事で、完了は不可能との指摘がある。米側が返還条件とする辺野古より長い代替滑走路も定まっていない。古謝氏にはこうした課題についての見解を示す責任がある。
古謝氏の得票数は過去最多の約42万3千票だった。だが玉城氏も約27万6千票を集めた。選挙中は兵庫県知事選などと同様、交流サイト(SNS)上に真偽不明な情報や中傷動画が飛び交った。知事選が分断を助長してはならない。古謝氏は県民の多様な声に耳を傾け、融和を図る県政を実現してほしい。























