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 政府は飲食料品の消費税率を来年4月から2年間、1%に引き下げる関連法案の土台となる税制改正大綱を決定した。消費税の減税は1989年の導入後初となり、減税額は2年で10兆円に上る。消費税は社会保障の貴重な財源であり、その穴を埋める対策は不可欠だ。しかし肝心の代替財源は明示されなかった。

 高市早苗首相は「財源確保の具体像は予算編成プロセスで示す」と説明し、大綱は「赤字国債に頼らず、補助金と租税特別措置の適正化や税外収入、歳出・歳入の見直しにより確保する」との記述にとどまる。財源確保策を先送りしたまま、関連法案が国会に提出される事態となれば無責任というほかない。

 大綱は、減税終了後の2029年度に所得連動型の現金給付を本格的に導入すると明記した。それまでのつなぎとして、消費税率1%分の現金給付を先行させ、税負担の「実質ゼロ」を実現する。

 ただ、給付対象者の所得水準や給付額などの詳細は示されず、29年度以降にどれだけの財源が必要となるかも不明だ。恒久的な制度とするなら安定的な財源が欠かせない。

 減税で打撃を受ける中小農家や外食産業への支援策も検討されており、ここでも多額の費用が見込まれる。首相の「悲願」だからといって、そこまでして減税する意味はあるのか、そもそも減税の目的である物価高対策として有効なのか、疑問の声が上がるのは当然だろう。

 「責任ある積極財政」を掲げる首相は減税に加え、戦略分野への官民計370兆円超の投資、上限を設けない予算要求、防衛費の大幅増額などを一気に進めようとしている。

 国民の目を引く支出が強調される半面、国民生活や国家財政にどんな影響があり、政府がどう責任を果たそうとしているかは明言しない。

 長期金利の急上昇は、財政規律を度外視するような高市政権の姿勢に対する、金融市場からの警鐘と受け止める必要がある。

 超党派の社会保障国民会議では主な野党が減税に反対を表明した。関連法案を審議する臨時国会は激しい論戦が予想され、特に与党が少数の参院は野党の協力が欠かせない。

 気がかりは先日の自民党役員人事の影響である。首相は、審議日程などで野党にも配慮を見せた参院幹事長を交代させ、衆院国対委員長には首相を長時間拘束する国会審議に異議を唱える若手を起用した。

 消費税減税は国民生活に直結し、社会保障の将来を左右する最重要法案である。異論を封じ、数の力で押し切るような国会運営を許してはならない。首相は真摯(しんし)に論戦に応じ、懸念に誠実に応える責任がある。