昭和を代表する書家で、「日本経済新聞」の題字を手がけたことでも知られる上田桑鳩(そうきゅう)は今の三木市吉川町に生まれた。随筆の名手でもあり、1943(昭和18)年に発刊された随筆集に「時代性と永遠性」と題した文章がある◆古典を重んじることは大切だが、だからといって昔の平安装束のなりで今の東京・銀座を歩けば笑われよう。書道も同じである。過去から未来へ継がれていく伝統の「永遠性」は保ちつつ、新しい感覚を取り入れる「時代性」も備えよ-と、そう説いた◆69歳で世を去って、58年がたつ。桑鳩先生がもし今の世にあらば、どういった感想をもたれただろう。日本の書道がユネスコの無形文化遺産に登録される運びとなった◆漢字と仮名。その書風。その筆づかい。中国をルーツとしつつ、独自の伝統をつむぎ、進取の精神も取りこみながら発展した和の文化である。素養なき身で恐縮ながら、手書き文化がデジタルの波に押されるなかで届いたニュースがうれしく、頼もしい◆創作の楽しみを、書家は入門書に書いている。「下手は下手なりに、自分の息のかよったものを創(つく)りましょう」。ちょうど時節柄でもある。先生に背中を押された気分で、筆書きの年賀状などいいかもしれない◆下手は下手なりでも。2026・11・7























