尼崎JR脱線事故
企業の刑事責任を問う法制度の創設を目指す尼崎JR脱線事故の遺族らが23日、「組織罰を実現する会」の発足に合わせたシンポジウムを、兵庫県伊丹市のスワンホールで開いた。ノンフィクション作家柳田邦男さんらが講演し、実現に向けた課題や意義などを話し合った。
遺族や負傷者らは、2014年から勉強会を重ねてきた。25日の事故11年を前に、死亡事故を起こした企業に罰金刑を科す法案制定に向け署名活動などに取り組むと発表。実現する会を23日に立ち上げ、報告を兼ねてシンポを企画した。
冒頭で、会の代表に就いた遺族の大森重美さん(67)=神戸市北区=が経緯を説明。「組織にプレッシャーを与えることで安全な社会システムを確立できる」と組織罰の意義を強調した。
脱線事故の取材を続ける柳田さんは、企業が組織防衛を強め、原因究明に影響が出ることを懸念。一方、事故原因を構造的な問題として告発できる可能性に触れ、「処罰の論理と安全の構築がバッティングしないよう両立させることが重要だ」と指摘した。
遺族らが制定を目指す法案の基礎を示した郷原信郎弁護士も講演。法制化が実現すれば、今年1月に起きた長野県軽井沢町のスキーバス転落事故でも、死亡した運転手の過失を基にバス会社の刑事責任を問えるとした。
シンポには、東日本大震災の津波で七十七銀行女川支店(宮城県女川町)に勤める長男を失った田村孝行さん(55)も出席した。銀行側の避難指示を民事訴訟でただした経験を踏まえ「企業の安全対策の重要性を訴え続けていきたい」と話した。(小川 晶)
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