エッセー・評論

上海発 金鋭のモノクロフォトコラム

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憩いの路地裏 金鋭氏
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金鋭氏

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 華僑3世として生まれ育った神戸、日本を離れ、「祖国」中国に移り住んで20年が過ぎた。

 初めは異国としか思えなかったこの国で暮らし、さまざまな人たちに出会って気付かされたことがある。「違いを知る」ということの大切さだ。

 書物や世の中に飛び交う情報、噂話の類まで、人は多方面からいろいろな形で影響を受ける。ただ、異なる考え方や価値観に直面した時、それを受け入れるべきかどうか、戸惑うことも少なくない。

 中国では今でこそ、飲食店でビールを注文すれば、必ず冷えたものが出てくるが、実は少し前までは常温が当たり前だった。「ぬるい」と文句を言う客には氷が出されたりすることもあったという。

 日本人なら「ぬるいビールなんてあり得ない」「きんきんに冷えていなければ…」と考えるのが普通だ。日本で酒の味を覚えた私もぬるいビールは苦手である。

 でも、ここは視点を変えてみて、ぬるいまま出す理由とは何か、考えてみてはどうだろう。

 中国では昔から冷たいものを体内に入れると、寒気が溜まり不調をきたすと言われてきた。今が旬の上海蟹は体を冷やす作用があるとされる。だから蟹を食べる際、こちらでは体を温める効果がある紹興酒やショウガ湯などを一緒に飲む習慣がある。

 ぬるいビールを出すのも、体を気遣ってのことだと分かる。

 自分とは異なる価値観、習慣について「なぜだろう」と関心を抱くことで、これまで見えなかったことにアプローチすることができる。「違い」の理由が分かれば、相手に対するリスペクトも生まれる。考え方の幅も広がるに違いない。

「違いを知る」こと。それは互いが認め合い、理解するための大きな一歩となるはずだ。

▽金鋭(きんえい)

 1967(昭和42)年神戸市生まれの華僑3世。中華同文学校、兵庫県立御影高校を経て甲南大経営学部へ。大学時代はアメリカンフットボール部に所属。ポジションは攻撃の司令塔クォーターバック(QB)。4年生の時、オールスター戦「トーソーボウル」でMVPに選ばれる。

 卒業後の89(平成元)年リクルートに入社。HR(企業の人的開発)ビジネスに従事する一方、社会人アメフットチーム「リクルート・シーガルズ」(現オービック・シーガルズ)で活躍する。96(平成8)年に中国新規事業担当。

 99(平成11)年、リクルート退社後、日系企業向け人材紹介会社の草分けでもある上海創価諮詢の共同経営者に。2011年、インテリジェンス・アンカーコンサルティング有限公司薫事総経理(社長)。16年からフリーランスに。

 趣味はカメラ。モノクロ写真をSNSなどに投稿、話題を呼んでいる。

 上海在住。家族は妻と双子の二男。FMCOCOLOなどで活躍するDJ MEMEさんは実妹。

 

2016/10/31

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