エッセー・評論

上海発 金鋭のモノクロフォトコラム

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破顔一笑
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 めざましい経済成長を遂げ、海外からさまざまなモノが入ってくるようになると、中国人の生活様式も激変した。

仕事仲間との会食では、こんなエピソードがある。ちょうど私が中国にやって来た、今から20年前、日本料理の店に行くと、出てきた刺身に手をつけない者が少なくなかった。今でこそ日本料理も随分ポピュラーになり、トロをはじめマグロの刺身などは中国人たちにも大人気である。しかし元来、生ものや冷たいものは基本的に食べたり飲んだりしない人が多かった。以前、このコラムで冷えていないビールの話題を取り上げたことがあるので、覚えておられる方もいるだろう。そう、全ては体を冷やさないためなのだ。

 そんな中国人が好むのはお茶、そして「白开水(バイカイシゥエイ)」。日本語でいう「白湯(さゆ)」である。以前は飲む習慣のなかったコーヒーも米国のチェーン店が進出し、老若男女問わず飲まれているが、白湯は次元の異なる飲み物のような気がする。

 思い起こせば、子供のころに神戸で祖父母宅に遊びに行くと、2人が白湯をよく飲んでいた記憶がある。当時はなんでこんな味もない、ただのお湯を好んで飲むのか、不思議でならなかった。子供の私が好きだったのは、当然、甘くておいしいジュースやすかっと爽やかなコーラ。白湯を出されても口をつけるどころか、見向きさえしなかったらしい。

 そんな白湯のイメージががらりと変わる話を先日うかがった。病を患った友人の体験談だ。病院では看護師さんに、自宅では家族から白湯を飲むよう繰り返し勧められたのだそうだ。体を冷やさないということはもちろんだが、「気持ちを落ち着けなさい」とか「冷ましながらゆっくり飲んでくつろぎなさい」と言われているようだったと。そう、優しさや思いやりを感じたという。

 冷たいものは体にも悪いが、何より気持ちも冷やす。反対に味のない無色透明の白湯は、体と共に心も温かくする飲み物なのかもしれない。「魔法の湯」とは言い過ぎだろうか。疲れている人がいたら、今度、白湯を勧めてみよう。厳しい寒さが続く中、ふとそんなことを思ってみた。

2017/12/20

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