エッセー・評論

上海発 金鋭のモノクロフォトコラム

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「光芒一閃」
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「光芒一閃」

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「光芒一閃」

 大学、社会人と9年にわたり、アメリカンフットボールに打ち込んできた。ご存じの方も多いとは思うが、アメフットは攻撃と守備に分かれて戦う競技だ。フィールドに出るのは1チーム11人。選手交代は何回でも自由にできる。

 特徴の一つを挙げるとすれば、ビデオなどを使って対戦相手を徹底的に分析、それに基づいて戦略(ゲームプラン)を細かく練っていく点だろう。こうした準備が勝敗を左右する。試合開始前に勝負は決まっているともいわれている。

 試合はハーフタイムを挟み前半2クオーター(Q)、後半2Qの4Qで戦う。準備のスポーツとは言ったが、しょせん相手のあること。あらかじめ立てたゲームプラン通りに進められなかったり、スムーズだった試合のリズムが突如として崩れたり、モメンタム(勢い)が時に目まぐるしく移り変わるのもこのスポーツの特徴だ。試合中も分析を怠らず、戦略をその都度、修正して臨む。そう、ちょうど人生のように。

 大学を卒業し、20代の初めから社会に出て働きだし、定年まで約40年。フットボールになぞらえると、1Q10年の一度きりの試合と言えるかもしれない。それぞれのQでどんな目標を掲げるのか。達成のためにどういう働き方をすべきなのかが、問われているのだ。

 学生時代、私は漠然と「将来は経営者になりたい」と考えていた。就職活動で会社の面接を受けた際には、「3年で会社を辞めます」と思わず口走ったこともあった。会社に入れば、理不尽なことに直面する場面が少なくない。一方で自分という存在を組織に認めてもらうため、耐えがたいことにも耐えねばならない。そんな葛藤を繰り返しながら3年で辞めるはずが、仕事の面白さもあってあっという間に10年が経過した。

 祖国中国・上海を仕事で訪れるようになったのがちょうどそのころだった。ようやく独立のチャンスに巡り合うことができた。

 振り返ると、社会人の第1Qである20代は、とにかく前を向いて仕事に取り組んできたように思う。上司からの指示をどうやり遂げるか。どうすれば期待以上の成果を出せるのか。心の底には何とか見返してやりたい、そんな思いがあった。

 会社を辞めるという、人生半ばの棚卸しをして臨んだ第2Qの30代は、共同経営者という道に足を踏み入れた。それまでの経験を生かし、組織にとっても社会にとっても代え難い人材になれるかどうか、という課題を自らに課した。第3Qの40代は次世代の人材を育成しつつ、自分にしかできない仕事をする、という目標を掲げた。その第3Qも残り時間が少なくなってきた。最終の第4Qの50代は自らの宿命、与えられた天命について今一度考えてみようなどと思っている。

 4Qで決着がつかなければ、延長戦もある。戦略を練り上げたとしてもやってみないと分からないのは、アメフットと一緒だ。思い通りにならないからこそ奥深くて面白い。

 モメンタムは自ら引き寄せねばならない。自分らしく生き生きと働き、過ごせるかどうか。試合はまだまだ続く。

2016/11/25

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