エッセー・評論

上海発 金鋭のモノクロフォトコラム

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 「写真を飾ってみないか?」

 思いもかけぬ一言だった。若いころから多趣味で、中でも油彩画に熱心に取り組んできた父。長年にわたって描きためた作品を集めた初めての個展を来年4月、神戸のギャラリーで開くに当たり、息子の私に絵と写真の「親子二人展」を持ち掛けてきたのだ。

 誘いを受けてしばらくたったころ、神戸・トアロード沿いにあるギャラリーを訪ねてみた。入り口はこぢんまりとしているが、中は広く、静かで落ち着いた雰囲気だった。オーナーも同じ華僑の方で親近感もわいた。

 トアロードは自分にとって特別な場所だ。通り沿いにはかつて母が営んでいたオーダー専門のチャイナドレス店があった。小学生のころは放課後、必ずと言っていいほど母の店に立ち寄ってから友達と遊びに行った。近所の生田神社は子供たちにとっては格好の遊び場だった。周辺には商売をしている華僑も多く、顔なじみも大勢いた。

 そんな懐かしい、ゆかり深い場所で、父との二人展。二つ返事で引き受けたいところだったが、迷いもあった。

 これまで作品を発表する場といえば、仲間との合同写真展への出展やSNSの写真愛好家グループのページへの投稿ぐらいだ。それもえりすぐりの1点か2点。SNSでは「今日の1枚」に選ばれるなど評価をいただくこともある。しかし、父の絵画展と同時開催といえども自分の作品だけを集めた「個展」となると話は別だ。

 自分の写真は果たして観賞に堪えうるものだろうか。写真を始めて4年半がたったものの、「まだ早い」のではないだろうか。

 一方で、無我夢中でシャッターを切り続けてきて、おぼろげながらではあるが、自分が撮るべきもの、写真を通して表現すべきことが少しずつ見えてきたような気もする。人の生きざまや息遣い。喜怒哀楽と言ってもいいかもしれない。

 「個展は自分との闘いになるよ」と写真仲間。これまで自分が撮ってきた写真を見返しながら、テーマを絞る。展示方法をはじめ企画を具体的に立てる。一番大事なのがトータルで何を表現し、ギャラリーを訪れる人たちにどう伝えるのか、だ。

 「考えるより動く」

 写真を撮る時もそうだ。街や人が被写体の場合、感性に任せて動いた方がいいときがある。思い悩んでいるより先に進もう。自信があるわけではないが、父からの誘い。神戸・トアロードでの展示。目指すべき道も見え始めた。「このタイミング」なのかもしれない。

 写真は今や私にとってかけがえのないものとなった。人生の一部とは言い過ぎだろうか。でもそう思えるものに巡り合えた。初めての個展となる父との親子二人展。このチャンスを逃す手はない。次のステージへステップアップしたい。

     ◇

 親子二人展は来年4月6日から11日までトアギャラリー(神戸市中央区北長狭通3ー12ー13)で。1階に父親の油彩画、2階に私の写真を展示する。上海を舞台にした作品を中心に、とは考えているものの、テーマはまだ絞り切れていない。様々な縁が繋がり、この展覧会開催にたどり着いたことを考えると最後の最後までもがき、悩み、苦しみながら自分自身が納得できる形を目指そうと思っている。闘いはしばらく続きそうだ。

2018/10/11

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