私たちが取材の中で考えてきた「生」と「死」、そして「命」について書き進める連載「死ぬって、怖い?」に、読者からさまざまな声が寄せられています。
連載ではまず、「生ききる」という言葉の意味について考えました。神戸市の50代女性から届いた手紙には、丁寧な字でこう書かれています。「命の長さは人それぞれ。どうすることもできず理不尽に思うこともあるでしょう。だけど、『生ききる』という言葉に優しさ、愛(いと)しさ、強さのようなものを感じました」
女性は母親を亡くして30年近くになります。誕生日には「産んでくれてありがとう」と感謝し、心の中で自身の年齢を報告しているそうです。
「いつかあの世で会えた時に『お母さん! 私、いい人生を送ったよ。たくさんの人のおかげでね』と言おう。そう思って生きています」と教えてくれました。
こんな意見もありました。
病院の療養病棟で介護職として働く読者は、メールに「連載に登場する方はご自分の人生を生ききれるように、いろんな条件がたまたまかみ合った人じゃないかと思うんです」とつづっていました。
勤務先では寝たきりで、話すことができない人がいます。体調の変化を家族に伝えると「逝ってから連絡してくれたらいい」と言われた経験もあるそうです。「何が正しいか分からない」。生や死と日々向き合う葛藤が、文面からうかがえました。
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連載中の「『良い死』って何ですか?」という問いに対するメールも届きました。
「良い死、悪い死は変わりないように思います。それまでの経過が全てだと思います」とは、がんで闘病中の60代の女性です。
昨年、母親を失ったという女性からもメールが届きました。女性は「いい死に方をさせてあげられなかった」と後悔しています。「生き死にをいいとか悪いとかいうのは、もうごめんです」とありました。
「いろいろな死があっていい。そして、正解はない」とは、一昨年に41歳の夫をがんで亡くした女性です。「夫は最後まで生きることを諦めませんでした」といい、「闘病生活は大変だったと思いますが、夫は良かったのかもしれないです」。夫は亡くなる3日前まで仕事をし、自宅で過ごしたそうです。
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タイトルの「死ぬって、怖い?」に対しては、肺がんで闘病する神戸市の70代女性が率直な思いを明かしてくれました。「死は怖いとは思いません。死ぬということは、この世から消えること。通い慣れた道も、友だちや家族との別れ、思い出もすべて消える。それが怖いです」
2020/6/12【募集】ご意見、ご感想をお寄せください2020/5/29
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【読者からの手紙】(2)「一人で死なせてしまった」。今でも心から消えない2020/7/5
【読者からの手紙】(3)いろいろな死がある。そして、正解はない2020/7/5
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【読者からの手紙】(5)母の自死。自分を責め続けていた2020/7/5
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