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 昨年6月に始まり、1年間にわたる連載を終えたシリーズ「いのちをめぐる物語」(全8部)には、読者から約350通の手紙やメール、ファクスが寄せられました。家族との別れを経験した人、闘病中の人、医療や介護関係者からのお便りもありました。生と死に向き合い、葛藤や後悔、亡き人への愛情…。あふれる思いがつづられていました。取材班はそれらの文面を心に置きながら、1年間、記事を書き進めてきました。シリーズ最後のお便り特集をお届けします。(紺野大樹、中島摩子、田中宏樹)

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 私は30年前、自殺未遂をしたことがあります。慣れない職場と、ゆっくり相談できる相手もいない毎日。夫の不倫、初めての出産と育児などいろんなことが重なり、苦しみから逃れるには死ぬしかないと思ったのかもしれません。

 離婚して地元に戻り、死に損なったまま、ただ惰性的に仕事に行って、必死で自分の居場所を探していました。「死にたい」とふと思っても、ほとんど気力と力業で死なない選択をし、それだけでエネルギーを使い果たしていました。

 それでも、いろんなセラピーや心理学を学んでいくうちに「死生観」について考えるようになって、どう死ぬかより、どう生きるかを考えるようになりました。

 自分の経験と学びから、何か周りと問題やトラブルになりやすい人は、幼少期や思春期において、信頼でき、安心して話を聞いてくれたり、適切な関わりをしてくれたりする人に恵まれなかったことが大きいのかもしれない、と感じています。

 今、介護の仕事に少し携わり、人生の最終ステージを迎えた人たちと関わっています。その人の幼い頃からの環境や親との関係まで含めてケアできれば、それまでがどうであったとしても最後の数年が穏やかであれば、その人の人生は捨てたものではない、と思うのです。(洲本市、50代女性)

2020/7/5
 

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