元保護猫の女の子「オタル」ちゃんと「シャネル」ちゃんは、X(旧Twitter)ユーザー・らいらいももさん(@8bPz75NXxSNon3K)によって家族になりました。ふたりがきょうだいとして迎えられるまでには、いくつもの悲しい別れがあったといいます。
■大切な家族と立て続けに訪れた別れ
先代の猫・ももちゃんは、娘さんの職場近くに捨てられていたところを保護し、家族として迎えました。推定3カ月ほどの子猫でしたが、当時、難病を抱えるご主人の闘病生活を支えてくれる存在となりました。
「ももはワガママで気分屋。ツンデレで甘えん坊でした。そんな自由気ままな姿に、私たちは本当に癒やされました」
ももちゃんが家族になって1年半後、ご主人は旅立ちました。ももちゃんはその悲しみを埋めるように寄り添い、家族にとってかけがえのない存在に。しかし、ももちゃん自身も先天性の膵臓分泌不全を患い、余命宣告を受けながらも5歳まで生き抜き、虹の橋へ旅立ったのです。
「最後の2カ月は、ももの嫌いな薬や通院をやめ、いつも通りの生活を送りました。そして息子の腕の中で旅立ちました」
ももちゃんを失った喪失感は大きく、家の中は暗く重い雰囲気に。ももちゃんの遺品はすべて整理し、しばらく新たな猫を迎えることはないと考えていました。
■オタルちゃんとシャネルちゃんとの出会い
2021年8月、ももちゃんが旅立って18日後、娘さんから「この子がお迎えしてって言いよるよ」との連絡がありました。娘さんのマンションの駐車場に現れる子猫の中に、1匹だけ人懐こい子がいたのです。
「写真を見ると、ももにそっくりでとても驚きました。息子と相談し、その夜すぐに迎えに行くことに。それがオタルちゃんです。運命のように感じました」
生後推定3カ月のオタルちゃんは、家に来るとすぐに馴染みました。
「トイレの失敗もなく、まるでずっとここに住んでいたかのようでした。息子がドアに開けた猫用の穴も、迷うことなく通り抜けるほどでした」
さらに、2023年4月、新たな出会いが訪れます。息子さんは自身の結婚を控え、家を出るにあたりお母さんがひとりになることを気にしていました。オタルちゃんが落ち着いてきたため「もう1匹、猫を迎えたらどうか」と話し合っていた矢先、思いがけない知らせが舞い込みます。
「職場の同僚の娘さんを通じて『友人が子猫を拾った』と。写真を見ると、その子の鼻が、ももちゃんと同じ黒色だったのです。この子は家に迎えるべきだと直感しました。それがシャネルです」
ふたりとの出会いについて「ももが引き合わせてくれた気がします」と語る飼い主さん。こうして、オタルちゃん、シャネルちゃんとのにぎやかな暮らしが始まりました。
■ふたりと過ごす新たな生活
オタルちゃんはすぐに家に馴染み、まるでずっとここにいたかのような様子でした。そして、ちょっとしたサプライズもあったそうで……?
「ももにそっくりな白猫だと思ったのですが、成長するにつれて立派なパステル三毛になりました(笑)。でも、それもまたご縁なんだと思っています」
それでも、ももちゃんと同じしましまシッポと青い瞳は変わらず、その姿に家族の想いが重なります。
「息子は『ももちゃんと同じしましまシッポでいてほしい』と言い、私は『ももちゃんと同じ青い目でいてほしい』と願っていました。そのどちらも、オタルちゃんはちゃんと守ってくれました」
一方、シャネルちゃんは、生後推定1カ月、わずか280グラムの小さな体で家にやって来ました。最初の1カ月は白血病やエイズの検査ができないため、リビングで隔離生活を送ったといいます。
「オタルちゃんが新入りの気配を察し、リビングの前をウロウロしていました。対面の瞬間、ビビったのはオタルちゃんのほうでした(笑)」
シャネルちゃんは、とても食欲旺盛! ゴミ箱に潜り込んだり、こじ開けたりと元気いっぱいなのだとか。
「結局、シャネルちゃん対策でゴミ箱を三回も買い替えました(笑)。それでも、オタルちゃんが優しく面倒を見てくれたおかげで、ふたりはすぐに仲良くなりました」
■愛猫とこれからもずっと一緒に
現在、オタルちゃんは、推定3歳半、シャネルちゃんは、推定1歳8カ月を迎えました。
オタルちゃんの性格は、おっとりさんで甘えん坊。人間のことは好きなようです。
「人見知りはするので、宅配便の人が来ると2階へ隠れてしまいますが、気にはなる様子。『家政婦は見た』のように、物陰からじっと様子を窺っています。また、娘一家が泊まりに来たときも、自分から積極的に甘えに行くことは無いものの、机の下や部屋の隅っこで丸くなり、ずっと同じ部屋にいます。私がテレビを見たり、パソコンをしているときも、隣の椅子にちょこんとお座り。寝るときは、布団の中に入ってきます。本当にかわいいです」
一方、シャネルちゃんの性格は、誰にはばかることなく『したいようにさせろ』がモットーの、まさに天真爛漫な子だといいます。
「子猫のときに母親と離れ、1カ月ほど隔離生活を送ったせいか、猫社会のルールや空気を読むことは少し苦手かもしれません。いつも寝るときは、私の上に乗ってフミフミしながら眠る甘えん坊ですが、人からされる抱っこは苦手。抱っこされたいときは、自分から私によじ上ってきます。オタルのことは、お姉ちゃんやお母さんのように慕っているようです。また、食べることが大好き! 隙あらば、おやつが入っている箱をこじ開けようとしたり、こっそり盗み食いをしようと試みたりするのが困りものです。その代わり、好き嫌いが一切なく、オタルの残したごはんをきっちり食べてくれるSDGsな猫です」
オタルちゃん、シャネルちゃんとの出会いから今までを振り返り、飼い主さんは次のように語ってくれました。
「先代のももちゃんは、わずか5歳で旅立ちました。そのぶん、オタルちゃんとシャネルちゃんには、元気で長生きしてほしい。それが私の願いです」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)