大阪・関西万博の「第3回日本国際芸術祭」にて、ねじで制作された万博のジオラマが展示され注目を集めた。
使用されたのは1500から1600本のねじ。約400種類を巧みに使い分けながら約1万分の1サイズで万博会場を再現した。大屋根リングの上には見たこともないようなねじが並び、様々なパビリオンもボルトやワッシャーで再現されている。ねじを探すだけで1週間、制作期間は1カ月以上というこの大作を製作したサンコーインダストリー株式会社の高田知良さんに話を聞いた。
--ねじで万博のジオラマを作ろうと考えたきっかけは?
高田:芸術祭ということで、アートで勝負しようと思い、まず万博のシンボルである大屋根リングをねじで作ること思いついたのですが、チームで意見を出しながら、万博全体のジオラマ制作が決まりました。
普段はモノを止めたり繋いだりする役割のねじですが、作品にすることでねじ1つ1つに集中して見ていただけるので、もっと身近でおもしろいものだと分かっていただけるのでは?と思いました。万博も、ねじ無しではできないですから。
--難しかったところは?
高田:パビリオンの形を見ながら、どのねじをチョイスするのか決めるのが難しかったです。1番意識したのは、さまざまな種類のねじを見ていただくこと。ガンダムは細部まで表現するのではなく大体同じ大きさのボルトを使用し、WASSEは開き戸の開閉部分などに使う丁番を2枚重ねて表現しました。
--制作中、チームで盛り上がった瞬間は?
高田:クエート館の蝶ボルトなど、イメージにピッタリのねじを、倉庫の中の大量のねじから「これだ!」と見つけ出した時はうれしかったです。真ん中に位置する森の木は、見た瞬間ワッシャーで作ろうと!決めてました。
--見どころは?
高田:このねじはどのパビリオンかな?と探してみてください。きっと皆さんの見たことのない種類のねじも見ることができるはずです。細部までじっくり見ていただきたいので、ぜひ写真を撮っていただきたいです。見る人の年齢や経験により見方も変わるので、より多くの方に見ていただき、ねじの魅力を感じていただきたいです。
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万博での展示は終了したが、8月6日から万博終了までの期間は東大阪市役所1階にて展示、その後もサンコーインダストリー株式会社で展示するそうだ。生活を支えるねじの多様さ、美しさを再確認できる万博アートは必見だ。
(まいどなニュース特約・米田 ゆきほ)