「犬も夏は暑そうだからサマーカット」──そんな常識に、ひとつの実験が一石を投じました。
グレートピレニーズの「はむちゃ」ちゃんと暮らす飼い主(@hamcha_greatpyrenees)さんがInstagramに投稿した“被毛の断熱効果”に関するリール動画が注目を集めています。
■氷で実証!毛に包まれた氷は「ほぼ溶けなかった」
実験はとてもシンプル。同じサイズの氷を2つ用意し、一方はそのまま、もう一方は「はむちゃ」ちゃんの毛で包んで外に放置。気温33℃の曇りの日、20分後の結果に、飼い主さんも「びっくり!」。
そのままの氷はかなり溶けて小さくなったのに対し、被毛で包んだ氷は「ほぼそのまま」残っていたといいます。
「ここまで断熱効果があるとは…想像以上でした。被毛は、まさに“天然のコート”なんだと実感しました」
この実験を通して、犬の毛には「暑さから守る」働きがあることを改めて知ったと話します。
■サマーカット=涼しい、ではない?
サマーカットには賛否がありますが、「暑いからといって安易に毛を刈るのは、逆効果になり得る」と注意喚起する専門家も多いのが実情です。
特に「ダブルコート」と呼ばれる二層構造の毛を持つ犬は、自分でアンダーコート(内側の毛)の分量を調整して体温管理をしています。むやみにカットしてしまうと、断熱性が失われ、紫外線や虫からも無防備に。毛質が変わってしまう可能性もあるそうです。
「まずすべきは“抜け毛のケア”だと思います。毛が密になりすぎると風通しも悪くなるので、毎日のブラッシングがとても大事です」
■愛犬の体質・暮らし方に合わせて「考える」ことが大切
はむちゃちゃんは避妊手術をしていないグレートピレニーズ。飼い主さんは「毛質や体重にも違いが出る」と感じているといいます。
「日本の夏はピレにとって過酷。だからこそ、自然に毛の調整ができる身体のままでいてほしかったし、愛犬は股関節や足に問題もあるから、避妊による極端な体重増加も避けたかった」と話す一方で、「避妊しない選択には、他犬への配慮は不可欠で、より大きな責任が伴う」とも。
「正解はひとつじゃないと思います。大切なのは、“自分の犬にとってのベスト”を、しっかり“考える”こと」
■「犬のQOLを高めるには、人間基準を疑うことから」
人間が「こうした方がいい」と思うことが、犬にとって必ずしもベストとは限りません。はむちゃママさんは、食事、運動、皮膚ケア、被毛管理、すべてにおいて「トータルのQOL(生活の質)を高める」視点を大切にしています。
「犬は話せないからこそ、飼い主が知ろうとする姿勢が何より大事。“知らないと騙される、考えないと流される”──愛犬と向き合うすべての飼い主さんに、伝えたい言葉です」
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)