「女子会に彼氏を連れてくる人」「ママ友ランチに必ず夫同伴の人」など、単なる迷惑行為に見えるこの行動。しかし、背景には深刻な家庭内の問題が潜んでいるかもしれません。SNSで多くの共感を集めた体験談を基に描かれた漫画『どこにでも夫を連れてくるママ友』では、一見迷惑なだけの行為に隠された問題について切り込んでいます。
物語は夫と子どもと3人で暮らす菜々実が、幼なじみの真帆とメールをしている場面から始まります。どうやら真帆とその夫と子どもが近所に引っ越してくるらしく、菜々実はさっそく「ゆっくり話したいから、うちに来て!」と真帆に連絡しました。
その後、菜々実と真帆はスムーズに会う約束をします。そして当日、菜々実の家に真帆とその子どもが訪れます。ただしその横には真帆の夫もついてきていたのです。真帆と子どもだけでなく、その夫も来ることを事前に聞いていなかった菜々美は困惑します。しかも真帆の夫は子どもたちの面倒を見るでもなく、その場に居座り続けます。
さらに「高級住宅街という割にたいしたことがない」と言ったり、自分の仕事の成果を自慢したりと、自分本位な会話ばかりする始末。最終的には菜々美に「短いスカートをはいて、男を誘っているよう」と言い、真帆も「菜々美は男の子に人気だったから」と拍車をかけるのでした。
結局この日、ほとんど真帆との会話ができなかった菜々美は、「次は二人だけでランチに行こう」と誘います。しかし約束のランチ当日、お店でメニューを見ていると、「近くで仕事だったから」と真帆の旦那が現れ、ランチに同席すると言い出すのでした。この行動に菜々実は「平然と座る旦那さんも、私の同意を得ずに了承する真帆も理解できない!」と不快に感じます。
その後、何とか真帆と2人で話がしたい菜々実は、後日「旦那さんは連れてこないで」とはっきり伝えて、再び家に誘います。しかし、またしても真帆の夫は真帆と一緒にやって来ました。真帆のこの対応に菜々実は怒り「私と話すより、家族一緒がいいのね」と感じ、真帆と距離を置こうとします。
しかし今度は真帆から「ずっと家にいるとおかしくなりそう!」と連絡が来ました。「最後のお願い、私と会って」と真帆から懇願され、菜々美はもう一度だけ会うことにしたのです。
真帆の家を訪れると、旦那は出張中で不在でした。子どもたちを菜々美の旦那に預けて2人きりになると、真帆は衝撃的な事実を明かします。それは「私がひとりで誰かと会うのは許されないの…」というものでした。真帆の話では、美容院やお店も許可されたところにしか行けず、ママ友との交流も旦那から禁止されているとのこと。また日中は、仕事に出ている旦那から定期的にビデオ通話があり、居場所を確認されているというのです。
真帆の夫の行動に驚いた菜々実は、「ひどい!そんな人とこれからもやっていけるの?」と聞くと、「娘を取られてしまうから、離婚はできない」と答えます。さらに真帆は「旦那は菜々美と会った日は機嫌がいいの。だからこれからも3人で会って!」と切実な願いをするのでした。
夫婦間のモラルハラスメントにも通じるストーリーが描かれた同作について、発信メディアであるウーマンエキサイトさんに話を聞きました。
■実体験から生まれた共感ストーリー
ー同作はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか
『ママ友のランチなどに勝手に夫を連れてくる人がいて嫌だ』という読者から寄せられた体験談を読んだのがきっかけです。SNSでも同じような悩みを抱えているママがいたため、漫画にしようと思いました
ー執筆の際にこだわった点は
自分で想像してみても、女子会に彼氏や夫を連れてくる人がいたら絶対に嫌だな…と思い、感情移入しながら制作できそうだと思いました。そのため読者に共感してもらえるように、展開にはこだわりました。
現実では漫画のように必ずしも悪役が成敗されないでしょうし、クズ夫やめんどくさい義父母などとすんなり離れられたりはしないと思いますが、漫画を読んで少しでもスッキリしたり、モヤモヤが解消されたらいいなと思います。
(海川 まこと/漫画収集家)