災害大国とも呼ばれる日本。住まいを選ぶときに、地盤や災害リスクを気にしたことはありますか?株式会社AlbaLinkが実施した「家の地盤や災害リスクで不安に感じることに関する意識調査」によると、家を購入した人のうち56.2%が現在の住宅の災害リスクに不安を感じていることが明らかになりました。
この調査は、株式会社AlbaLinkが運営する不動産の情報メディア「空き家買取隊」が、家を購入したことのある500人を対象として、2025年6~7月に実施したものです。
■災害リスクへの不安は半数超
まず、「家の地盤や災害リスクに不安を感じるか」という質問をしたところ、「かなり感じる」(9.2%)と「少し感じる」(47.0%)を合わせて56.2%の人が不安を抱えているという結果になりました。日本の自然災害の多さを反映し、半数以上の住宅購入者が何らかの不安を抱えている実態が浮き彫りになりました。
■不安要因のトップは「川が近い」
次に「家の地盤や災害リスクで不安に感じること」を具体的に尋ねたところ、最も不安に感じたことの1位は「川が近い」(25.0%)でした。2位は「地震による被害」(19.2%)、3位以下は「土砂災害」(8.6%)、「豪雨災害」(8.2%)、「台風による被害」(4.8%)が続きました。
1位「川が近い」
・すぐ近隣に一級河川があり、上流にはエリアの中でも大きなダムがあります。地方的にも台風や大雨による水害が発生するエリア(九州地方)なので、川の氾濫などがとくに心配です(30代 男性)
・近くに大きな川があり、川との高低差を考えた場合に、浸水が想像できるためです(40代 男性)
・近くに川があること。最近ハザードマップが更新されて、住んでいる家は1メートルくらい水没する予想になっています(50代 女性)
2位「地震による被害」
・地震が多い地域なので、家が崩れないか不安(20代 女性)
・現在の住まいがある地区は水田だったことを後から知った。そのため地震の際に液状化しないか心配(40代 男性)
・震度3程度の地震でも結構揺れを感じるため。免震構造のマンションではないので、実際に大規模な地震が起きたときの被害が未知数である(40代 男性)
3位「土砂災害」
・家の裏に標高200m程度の山があり、竹藪が広がっているので、山火事と豪雨の際の山崩れがとても不安です。所有者が管理してくれず、竹が生え放題で、台風で竹が家側に倒れてくることもあります。自治会で伐採を行っていますが、ご近所さんは高齢の人も多いので大変です。ハザードマップでは危険度が低くても、住んでみないとわからない危険はありました(30代 女性)
・マンション購入後に東日本大震災があり、敷地の一部が土砂災害警戒区域に指定された(40代 女性)
・数年前に自宅から数キロ離れた場所で大雨による土砂崩れが発生しており、マンションの裏手には山が迫っているから(60代以上 男性)
4位「豪雨災害」
・最近大雨などが多いので、近くに川がなくても、浸水などの可能性はあるので不安(30代 女性)
・ハザードマップでリスクが低いと表示はあるものの、数メートル先の地点では高リスクとなっている。最近の雨量では、山から流れ出る水の量が想定を超えてきている(40代 男性)
・昨今の異常気象に伴う豪雨は、尋常ではありません。今まで水が来たことはありませんが、不安ではあります(60代以上 男性)
5位「台風による被害」
・台風で浸水した(20代 女性)
・台風で家の屋根が飛んだ(30代 女性)
・水害や大震災クラス以外の地震などの心配はありません。ただ台風などの強風は、住宅などの端材や木の枝とかが飛んで来たらどうしようもないので、心配です(50代 女性)
■67%が購入時に災害リスクを調査
続いて、「家を購入する際に地盤や災害リスクについて調べたか」という質問に対しては、「十分に調べた」(23.0%)と「ある程度調べた」(44.0%)を合わせて67.0%が何らかの調査を実施していました。調べた理由としては、以下のような回答がありました。
・一生住む場所なので、「絶対に大丈夫」と安心できるところにしたいと思ったから(30代 女性)
・東北出身で、東日本大震災のときに被災しているから。液状化などを実際目にしたため、意識が高い(30代 女性)
・大きな買い物だったから。首都直下地震が今後関東で発生する可能性があるため、できる限りリスクケアをしたかったからです(30代 男性)
・河川の近くであり、「地震時の液状化」及び「大雨時の河川氾濫」の可能性があったため、地域のハザードマップや古地図での土地利用の履歴を調査した(40代 男性)
・近年は災害級の豪雨が多く、川や山の近くではなくても、道路が冠水して床上浸水などの住宅被害が起こっている。地震も頻繁に起こっているので、自分たちもしっかりと災害リスクに関して調べなければいけないなと思った(50代 女性)
調査理由の1位は「リスクの高い土地だと思った」(24.8%)で、長期居住への責任感や実体験が調査の動機となっていることがわかります。
■調査しなかった理由は「慣れ」と「任せきり」
一方、家を購入する際に地盤や災害リスクについて十分な調査を行わなかった33.0%の人に理由を尋ねたところ、1位は「知っている土地だった」(21.2%)で、「深く考えなかった」(18.2%)、「不動産業者に任せた」(17.0%)が続きました。具体的に寄せられた回答は以下の通りです。
・山が近いので津波などは心配せず、あまり調べなかった(30代 女性)
・災害に対する意識が低くて、調べることをしなかったから(30代 女性)
・実家の近くで、昔なじみの土地だから。「川の近くでもなく、低い土地でもなく、平坦なところだから」という両親の言葉を信じて、「大丈夫だろう」と考えて何も調べませんでした(40代 女性)
・大手不動産屋が売り主になっているマンションなので、信用して購入した(40代 男性)
・家を購入するときに、地盤や災害リスクについて考えるより、家の価格を優先して考えたためです(60代以上 男性)
慣れ親しんだ土地への過信や専門業者への信頼が、災害リスク調査を怠る要因となっていることが明らかになっています。
【出典】
株式会社AlbaLink・空き家調査隊/【家の地盤や災害リスクで不安に感じることランキング】男女500人アンケート調査