半数の企業が「正社員の人手不足を感じている」 ※画像はイメージです(ohayou!/stock.adobe.com)
半数の企業が「正社員の人手不足を感じている」 ※画像はイメージです(ohayou!/stock.adobe.com)

「正社員の人手不足を感じている」企業は2社に1社--そんな調査結果が株式会社帝国データバンク(東京都港区)による「人手不足に対する企業の動向調査(2025年7月)」でわかりました。同調査によると、「建設」では「猛暑によって作業効率が悪くなっている」との声が聞かれ、猛暑による作業の制限や休憩時間の増加が人手不足感に影響を及ぼしている実態も表れました。

調査は、全国2万6196社を対象として2025年7月にインターネットで実施され、1万626社から有効回答を得たといいます。

その結果、「正社員の人手不足を感じている企業」の割合は、2025年7月時点で50.8%となり、7月としては3年連続で半数を上回りました。2024年同月の51.0%から0.2ポイント低下したものの変動幅は小さく、人手不足は「高止まり」状態が続いています。

また、「非正社員における人手不足」の割合は28.7%で、24年同月から0.1ポイント低下したものの2年連続で3割を下回り、こちらも高水準で推移しています。

正社員の人手不足割合を業種別にみると、「建設」が68.1%で最多となり、企業からは、「人手不足などが原因となって契約が不成立となるケースが増えてきている。求人は進めているが、今後が心配」(冷暖房設備工事、北海道)といった不安の声が相次いでいるほか、「残業規制などで社員の労働時間が減っただけでなく、猛暑によって作業効率が悪くなっている」(塗装工事、山梨県)という声も挙がりました。

調査を実施した同社は「猛暑による作業の制限や熱中症対策の義務化による作業手順の見直しが、人手不足感に影響を及ぼしている」と分析しています。

そのほか、生成AIをはじめとするIT投資などの需要の多い「情報サービス」(67.6%、前年同月比4.3ポイント減)や慢性的な人手不足を背景とした倒産が増えている「メンテナンス・警備・検査」(66.7%、同0.8ポイント増)、ドライバー不足が深刻な「運輸・倉庫」(63.9%、同0.5ポイント増)など、6業種で6割を上回る結果となりました。

他方、非正社員では「人材派遣・紹介」が63.3%(同4.7pt増)で最多に。これは業種問わず人手不足が国内全体で深刻化している状況のなかで、派遣人材によって労働力を補う動きが活発になっていることが要因として挙げられるといいます。

また、コロナ禍以前から人手不足が深刻だった「飲食店」や「旅館・ホテル」では、非正社員の就業者数がコロナ禍(2020年)以前の水準まで回復したことや、DXやスポットワークの普及による生産性向上を背景として人手不足割合は大きく低下しました。

この結果について同社は「就業人口の回復に加え、スポットワークの普及が大きな活路として挙げられる。スポットワークは主に小売・サービス業で広がるなか、人手不足の解消に向けてプラス材料となることが期待される」とコメントしています。