90年代~2000年代初頭に比べると、風俗業界は稼げなくなりました。昔はどんなに勤怠がだらしがなくても出勤すれば日給10万円だったのが、今は5万や3万、あるいはそれ以下です。並大抵の努力では、月収数百万円が手に入りません。不況のせいか利用客が減り、女性キャストばかりが増えて需要と供給が見合っていないのも、集客に苦戦する理由の1つでしょう。
とはいえSNSのフォロワー数が多いキャストの稼ぎは青天井です。目立つ女性に人気が集中し、中にはDMで予約を受け付けると1か月分の出勤枠が全て埋まる話もあるそうですSNS運用が可能で、身バレを気にせずに宣材写真での顔出しをすればまだ希望が残っているのがナイト業界ということ。
■夜職系インフルエンサーの実態と稼ぎ
お店ではインフルエンサーとして売り出されている人気者でも、実際に何らかの案件を受けている人はあまりいません。ナイト業界はプロフィールや肩書をちょっと“盛る”傾向が強いため、フォロワー数の多さ=インフルエンサーと呼んで客へアピールするのが一般的です。
夜職キャストが男性心理をくすぐるショットの写真を載せれば、SNSでは注目されやすいもの。投稿をマメに行い、顔出しで全世界へアピールするAさんは営業用アカウントがかなり育っていると語ります。(以下「」内、Aさん談)
「フォロワーは万単位いますし、DMでばんばん予約の問い合わせがきます。もともと宣材写真で顔出しをしていたので客付きは良かったのですが、SNSを始めてからさらに人気が出ました。今では1カ月のほとんどがリピーターさんか、DM予約で埋まりますね」
話によると、先月の収入は20日出勤で約250万円(※経費や税金を除く※)!「高いお店ではないので、250万から300万円が限界値ですよ」と謙遜しますが、数字だけを見れば立派な高収入ですよね。
出勤日以外のリクエストも承っており、要望が多い月はさらに収入が増えるそう。SNS投稿さえ怠らなければ新規参入を見込めますので、安定した数字をキープし続けて早2年が経ちました。
「ある程度のところまでいくと、勝手にフォロワーが増えていくんです!同業の女のコにリポストしてもらうと注目も集まるし、アカウントさえ育ってしまえばその先は割とイージーモードかも(笑)業界は稼げないとか不況とか言うけれど、まだ努力次第で何とかなる世界だと思いますよ」
■人気者特有の悩みはある?予約が取れないキャストのホンネ
高収入でお店からも重宝される存在なら、毎日が物凄く楽しいのでは?と世間は思うでしょうが、人気者ほど悩みが多いのです。案の定、Aさんも人生が順風満帆とは言い難いようで……。
「予約で埋まるのは嬉しいのですが、安いお店だから接客数を多くこなさなければなりません。体力勝負となると、この生活は永遠に続かない。どこかで高級店に移籍するか、夜を卒業するほかないと思っています」
また、多方面から注目が集まるとネットの誹謗中傷が増えます。DMやリプライの中には酷い言葉を投げる人もいて、勤務時間外にストレスが溜まるのも大きな悩みだと言いました。
冷やかしのようなDMは日常茶飯事で、たまにSNSで受け付けた予約をばっくれる失礼な男性も……!お金を稼げるぶんの苦労は、本当に絶えません。何度か来店されたリピーターの裏切りも関係し、Aさんは人間不信気味になってしまいました。
「高収入の代償は、だいぶ支払ってるつもり(苦笑)あと私、お金を貯めた先の目標が特にないんですよ。今は稼ぐことが楽しくて夜職を続けているけど、そこへの興味が失せたら働かなくなっちゃいそう。ほかにやりたい仕事もないから、貯金だけあって将来“詰む”パターンに陥りそうだなって危惧してます」
大きな代償を支払って稼ぎを得る生活に、いつピリオドを打つか……。収入は多くとも、“その先”を見いだせないことが何よりの不安材料。例え今が良くても人生は長いため、夜職キャストは厳しい現実といつかは向き合わねばならないのです。
身バレを気にしないことが絶対条件ですが、SNS運用など自己プロデュースを上手にすればまだ“夜職ドリーム”を掴める可能性が残されていることは確か。将来を見据えて先行投資し、計画をしっかり立てると得たお金と割いた時間を無駄せずに済むかもしれません。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。